Emacs Lispをいじっているときに、cl-defmethodで定義したメソッドへM-.(xref-find-definitions
)でジャンプできなくなることがたまにあったので次のように対処しました。(Emacs29時点)
;; xrefでメソッドに飛べなくなるのを回避するハック。 ;; defgenericを使わずにdefmethodをloadし直すと起きる問題に対処する。 ;; `elisp--xref-find-definitions:around'から`find-lisp-object-file-name'を ;; 呼び出したときの挙動を変更する。 (defun my-elisp--xref-find-definitions:around (old-fun &rest args) (cl-letf* ((flofn-old (symbol-function 'find-lisp-object-file-name)) ((symbol-function 'find-lisp-object-file-name) (lambda (object &rest flofn-args) (or (apply flofn-old object flofn-args) ;; 本来のfind-lisp-object-file-nameの結果がnullでかつ ;; OBJECTがgeneric関数シンボルなら ;; 空のファイル名を返すことで ;; elisp--xref-find-definitions内の ;; メソッド列挙部に到達させるハック。 ;; 本来ならその部分のFIXMEにも書いてある通り ;; その部分を`elisp-xref-find-def-functions'に分離 ;; すべきだと思われる。 (when (and (symbolp object) (cl--generic object)) ""))))) (apply old-fun args))) (advice-add 'elisp--xref-find-definitions :around 'my-elisp--xref-find-definitions:around)
根本的な原因は私がcl-defgenericせずにcl-defmethodしているからなのですが、まぁ、そこは良いんです。かったるくてやってられないから省いているだけので。それがダメというならmy-defmethodでも作らにゃなりません。しかし、まぁ、そのツケが回ってきたというだけの話ではあります。
xref等はsymbol-file
関数を使ってシンボルを定義したファイルを特定しますが、そのsymbol-file
はload-history
変数に記録されたファイルとシンボル定義の対応表(alist)を参照します。elファイルをloadするとその過程で定義されたシンボルがこの変数に記録されるわけですが、cl-defmethodは既にgeneric関数が定義されているときには新たにgeneric関数を定義しないので、同じelファイルを2回ロードすると暗黙的に作成されたgeneric関数のファイル名が消えてしまいます。elisp--xref-find-definitions
はgeneric関数のファイル名が取得できないとメソッドのファイル名も列挙しないので、結果定義されているはずのメソッドに飛べなくなるわけです。
上の変更では、generic関数のファイル名が特定できなかった場合に空文字列のファイル名を返すことで特定できたことにして、メソッドの列挙部分に無理矢理処理を通します。幸いなことにxrefは空文字列のファイル名を無視してくれる(ジャンプ先候補に出さない)ようです。
ろくなもんじゃありませんけど、とりあえずはこれで。
ちゃんとやるならelisp--xref-find-definitions
のFIXMEコメントに書かれているようにgeneric&method列挙部分をelisp-xref-find-def-functions
変数に登録する関数としてくくりだした上で、その中でgeneric関数のファイル名が特定できなくてもメソッドのファイル名を列挙するようにするのが良さそうです。
今回はシンボルと定義ファイル名の割り出し方法に関するお勉強でした。