最近はまた作図ツールのカラーピッカー部分を色々直していました。
misohena/el-easydraw: Embedded drawing tool for Emacs
先日久しぶりに使ったら変なところが見つかったので、この際溜まっていた改良点をいくつか潰そうと思ったわけです。
特に単独利用、つまり(作図エディタから使うのではなく)任意のバッファ内で色を表すテキストを置き換えたり挿入したりする使い方を中心に直しました。

以下修正点:
- 一時キーマップの不具合を修正
- まずはきっかけとなった不具合の修正。カスタマイズバッファ(Custom-mode)内で使ったらエラーが出たので何かなと思ったら、どうも色を決定した後でも一時キーマップが終了していないようでした。なので、C-c C-cやOKボタンで色を決定した後、その次のキー入力が一時キーマップに食われてしまいます。その時C-c C-cでカスタマイズの反映をしようとすると、既に閉じてしまったカラーピッカーのOKボタンが押されてカスタマイズバッファ内の色テキストを置き換えようとし、その場所がすでに編集可能な範囲を外れているとエラーが出るということでした。一時キーマップの使い方を色々見直しました。
- 子フレームが外に出て一部が見えなくなる問題を修正
- 表示する位置の計算を調整しました。
- 別ウィンドウをクリックしてカラーピッカーを出したときの問題を修正
- これEmacsでマウスを使うコマンドを書くとよくやっちゃうんですよね。マウスだとカレントバッファや選択中ウィンドウ以外を操作対象に出来るので。
- 導入を簡単にするマイナーモードを作成
edraw-color-picker-mode
とedraw-color-picker-global-mode
を追加しました。自分でフックか何かを書いてコマンドを好きなキーに割り当てる人には必要ないのですが、初期設定を簡単にするためのマイナーモードを作成しました。Emacs全体で使えるようにするにはグローバルマイナーモードであるedraw-color-picker-global-mode
を有効にするだけです。キー割り当てや有効にするメジャーモードは M-x customize-group edraw-color-picker-mode から設定できます。メジャーモード毎にキー割り当てを変えられるようにするため少々苦労しました(バッファーローカルマイナーモードキーマップ)。context-menu-modeが有効な場合はコンテキストメニューにも項目が追加されます。- CSS Color Module Level 4までの各種構文に対応
- 今のところcolor関数以外のhsl、hwb、lab、lch、oklab、oklchに対応しています。
- 元の書き方に合わせた置換
- 置き換える前の色テキストを解析して、使用している構文、単位、空白の入れ方等を置換後のテキストにも反映させました。
- 出力書式の設定の増強
- 出力する形式をカスタマイズするためのプロパティも沢山追加しました。が、この辺りはまだまだ整理が必要です。UIもありません。
- メニューを追加
-
メニューから出力形式をある程度選べるようになりました。また、色成分の直接入力や矢印キーによる値の変更など、存在に気がつきにくいコマンドを載せてあります。
図2: メニューでCSSの出力書式を選んでいるところ(日本語環境の場合) - バッファへの即時反映
- デフォルトでは、カラーピッカー使用中に挿入・置換結果が逐一バッファへ反映されるようになりました。css-mode等でバッファ内のテキストに色を付けている場合にはそれも自動的に更新されるというわけです。……しかしテストしてみるとcss-modeやweb-modeだと対応している(色を付けてくれる)構文って結構限られているんですね。
- 固定パレットの追加
- 少々見た目が煩雑になってしまいますが、下部に順番固定のパレットを配置しました。エントリーを右クリックするとメニューが出るので、現在選択中の色をそこへ設定できます。パレット全体をファイルへ保存したり読み込んだりも出来ます。作図エディタから使うとパレットの状態は自動的に保存されるのですが、他から使う場合は明示的に保存する必要があります。
- M-p/M-nで履歴選択
- M-pやM-nで最近使った色を選べるようになりました。
- 最後に選択した色相を維持
- これまでは初期色が無彩色の場合、赤(色相0度)がから始まっていましたが、最後に選択したときの色相から再開するようにしました。ちゃんとやるならもっと色々工夫をしなければならないのですが、とりあえず最低限。
- 現在の色の表示
- エコーエリアに色の情報を表示するようにしました。
- デフォルトの大きさを調整
- 小さいと使いづらいのでデフォルトの大きさ(edraw-color-picker-near-point-scale)を1.0にしました。この辺りはお好みで。
まだまだ直した方が良いところは尽きませんが、少しはマシになったかもしれません。
作図エディタの方も色々改良していますが、それはまたいずれ。
というわけでEmacsのcss-modeやcustomize-face等でカラーピッカーを使う設定の続きでした。その記事を書いてからもう大分経ちましたね。ボヤボヤしていると1年2年あっという間に過ぎてしまうのでホント嫌になってしまいます。