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2021-08-04

WindowsでflycheckがNULというファイルを作ってしまう問題

以前flycheckを試したときにNULというファイルが出来て消すのが大変だったのでflymakeでいいやーと思ったことがあったのですが、最近また調べたところ対処法を書いているサイトを見つけました。

Emacs Flycheck

下記の記述だと、Windowsで、gcc によっては、同じディレクトリに "NUL" というファイルが生成されることがある。

:command ("gcc" "-c" "-I../../inc" "-I." "-O1" "-Wall" source "-o" null-device)

その場合、下記のように temporary-file-name を指定すると回避できる

:command ("gcc" "-c" "-I../../inc" "-I." "-O1" "-Wall" source "-o" temporary-file-name)

checker定義内の 'null-device は同名の変数null-deviceの値で置き換えられて、Windowsだと "NUL" になります。これをCygwinやMSYS2/MinGWのgccが受け取るとコンパイルが成功したときにそのままNULというファイルを出力してしまうのが原因のようです。

同じようにcheckerを再定義すれば良いのかなと思ったのですが、flycheck.elを見てみると沢山のcheckerが定義されていてその中でnull-deviceも沢山使われていました。

そもそもcheckerを再定義するのも面倒ですし、かといってnull-deviceの値を書き替えるのも(他にどこで使われているのか分からないので)怖いですし、手っ取り早くadviceでnull-deviceをtemporary-file-nameに置き換えてしまうことにしました。

;;; Windowsでnull-deviceを使わないようにする。
;; null-deviceはNULなので、CygwinやMinGWだとNULというファイルを作ってしまう。
;; flycheck-command-wrapper-function でNULを置き換えても良いのだが
;; flycheck-substitute-argument でやった方が確実だし簡単。
(when (locate-library "flycheck")
  (with-eval-after-load 'flycheck
    (defun my-flycheck-substitute-argument (old-func arg checker &optional rest)
      (when (eq arg 'null-device)
        (setq arg 'temporary-file-name))

      (apply old-func arg checker rest))
    (advice-add 'flycheck-substitute-argument :around 'my-flycheck-substitute-argument)))

最近はLSPの方でエラー箇所を検出してしまうので必要ないのかもしれませんけどまたNULファイルが出来ると面倒なので念のため。

2021-08-03

2021年夏の新番組

最近は1話が月末まで遅れることが多くなってきましたね。

初評 テレビ開始 テレビCh 作品名 ネット配信
06/29(火) 25:34 日テレ ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編  
07/01(木) 22:00 MX ピーチボーイリバーサイド dアニメ
07/01(木) 22:30 MX SCARLET NEXUS dアニメ
07/01(木) 23:30 MX ひぐらしのなく頃に 卒  
07/02(金) 24:00 MX ヴァニタスの手記 第1クール Amazon
07/02(金) 24:30 MX 100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン  
07/02(金) 25:05 MX ぶらどらぶ(VLADLOVE) ※ネットでは既に配信済 dアニメ
07/02(金) 25:25 TBS系 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X (第2期) dアニメ
07/02(金) 25:50 TBS系 俺、つしま Youtube
× 07/02(金) 26:25 TBS カノジョも彼女 ABEMA
× 07/03(土) 22:00 MX ぼくたちのリメイク ABEMA
07/03(土) 23:30 MX 魔法科高校の優等生 dアニメ
× 07/03(土) 25:00 MX かげきしょうじょ!! dアニメ
07/03(土) 25:30 MX 現実主義勇者の王国再建記 FOD
07/03(土) 25:30 テレ朝 RE-MAIN dアニメ
07/04(日) 21:30 MX 天官賜福 -吹替版- dアニメ
07/04(日) 22:00 MX 死神坊ちゃんと黒メイド dアニメ
07/04(日) 22:30 MX アイドリッシュセブン Third BEAT! (第3期) 第1クール  
07/04(日) 23:00 MX ゲッターロボ アーク dアニメ
× 07/04(日) 24:00 MX 探偵はもう、死んでいる。 dアニメ
07/04(日) 25:00 MX 指先から本気の熱情2-恋人は消防士- dアニメ
× 07/05(月) 25:30 テレ東 うらみちお兄さん dアニメ
07/05(月) 26:00 テレ東 精霊幻想記 ABEMA
07/06(火) 23:00 MX 転生したらスライムだった件 第2期 第2部 dアニメ
07/07(水) 07:05 テレ東 KICK&SLIDE  
07/07(水) 22:00 MX チート薬師のスローライフ~異世界に作ろうドラッグストア~ dアニメ
07/07(水) 22:30 MX TSUKIPRO THE ANIMATION 2  
07/07(水) 23:00 MX 月が導く異世界道中 dアニメ
07/07(水) 24:00 MX 小林さんちのメイドラゴンS (第2期) dアニメ
07/08(木) 24:00 MX 白い砂のアクアトープ ABEMA
07/08(木) ~ Netflix BIOHAZARD(バイオハザード):Infinite Darkness Netflix
07/09(金) 22:30 MX 迷宮ブラックカンパニー dアニメ
× 07/10(土) 22:30 MX D_CIDE TRAUMEREI dアニメ
07/11(日) 19:00 Eテレ ラブライブ!スーパースター!!  
07/11(日) テレ東 闇芝居 第9期 Paravi
× 07/12(月) 24:00 MX 出会って5秒でバトル dアニメ
× 07/14(水) 25:05 MX 女神寮の寮母くん。 dアニメ
07/14(水) 24:55 フジテレ NIGHT HEAD 2041 FOD
× 07/15(木) 24:30 MX Sonny Boy -サニーボーイ- dアニメ
07/18(日) 24:30 BS日テレ 戦乙女の食卓Ⅱ YouTube
07/20(火) ~ WEB配信 アサルトリリィふるーつ  
07/22(木) 24:55 フジテレ 平穏世代の韋駄天達 Amazon
07/31(土) 24:00 MX マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd Season  
07/31(土) 26:00 テレ朝日 ジャヒー様はくじけない! dアニメ

今期は不作……凶作ですかね?

2021-08-03 ,

org-modeのコードブロックでHTMLを「実行」する

org-modeのコードブロック(org-babel)でHTMLを書いているとフラストレーションが溜まります。なぜならば書いたHTMLの結果を確認しづらいからです。

org-modeにはob-html.elが定義されていません。なので org-babel-execute:html も定義されておらず通常のコードブロックを評価する方法(C-c C-c)でHTMLを実行出来ません。

HTMLの実行とは何か

ちょとまって。実行? HTMLの実行とは何でしょう。HTMLはマークアップ言語ですからプログラミング言語のように実行と言われても何をするのかよく分かりません。ob-html.elが無いのはおそらくそのためではないでしょうか。

私が思う実行とは何でしょうか。

ブラウザで開く
HTMLの実行と聞いて真っ先に思い浮かべるのはブラウザで開くことでしょう。プログラミング言語では無いと言いますが現実的にはもはやアプリケーションプラットフォームでもあります。
HTMLをそのまま文書に埋め込む
例えばコードブロックを使ってHTMLの書き方を説明したとしましょう。表の書き方、段落の書き方、強調の書き方等々。エクスポートしたときにHTMLの書き方(コード)と表示結果を並べて表示したいことがあります。そのとき、HTMLでエクスポートするならコードの後にそのHTMLそのものを埋め込めれば手っ取り早く結果をブラウザで表示できるはずです。
単にHTMLをそのままファイルとして書き出す
単にそのまま別ファイルに書き出してくれれば十分なこともあるでしょう。結果欄にはそのファイルへのリンクを表示すれば読んでいる人はそれをクリックして結果を確認することが出来ます。ちなみに単に書き出すだけなら :tangle というヘッダー引数があるのですが、これは文芸的プログラミングのためのものでバッファ内のものを一度に全部書き出すコマンドしか見当たらず何だか用途が違う気がします。通常の :results file :file filename で書き出したいところです。
HTMLの文字列そのものを結果とする
コードブロックに書いてあるテキストをそのまま結果とするという考え方も出来ます。実はob-org.elはそうなっています。別の所から参照して活用するのに使えそうです。ちなみに上の二つの「実行」はこれが実現出来るだけで自動的に実現出来ます。「そのまま」というのがミソですね。前者はそのままhtmlエクスポートブロックにするだけ。後者はそのままファイルに書き出すだけです。結果をそのまま返すだけでエクスポートブロックで囲んだりファイルに書き出す処理はOrg Babel側でやってくれます。
スクリーンショットを撮る
結果を画像で表示できれば便利です。これを実現する方法はこれまでにいくつか見たことがあります。ネットを探すとPhantomJSやヘッドレスChromeを使用してスクリーンショットを取れるようにした事例が見つかります(krisajenkins/ob-browser, ob-html-chrome/ob-html-chrome.el)。
ブラウザで開きセッションを維持する
単にブラウザで開くだけで無く、開いたらそのままセッションを維持して、続くJavaScriptのコードブロックをそのセッションで実行できたら面白いのではないでしょうか。JavaScriptからHTML(というかDOM)を操作する方法を解説したいときに便利かもしれません。

とりあえず私がパッと思いつくのはこのくらいでしょうか。HTMLは単なる文書ですから、他にもいくらでもやりたい動作はあることでしょう。

ob-html.el を作る

まず ob-html.el が無いことが問題です。せめて ob-org.el レベルの物は用意しておいて欲しい所ですが無いのだから仕方ありません。

というわけで作りました。

misohena/ob-html

これを読み込ませるとHTMLのコードブロックが評価できるようになり、その結果を #+RESULTS: の場所に埋め込むことが出来るようになります。具体的には次のことが出来るようになります。

HTMLとしてそのまま埋め込む

次のコードブロックは評価するとHTMLのエクスポートブロック(#+begin_export html#+end_export)になります。

#+name: ob-html-ex1-1
#+begin_src html :exports both :results html :cache yes
<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>
#+end_src

上のHTMLは次のように表示されます。

#+RESULTS[9621841e579ea4feee64be832813d72c5428d389]: ob-html-ex1-1
#+begin_export html
<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>
#+end_export

上のOrg文書はHTMLでエクスポートすると次のように表示されます。

<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>

上のHTMLは次のように表示されます。

つよつよ 追加 削除

外部にHTMLファイルを生成し、そのファイルへのリンクを埋め込む

次のコードブロックは評価すると外部にhtmlファイル(example.html)を出力しそのファイルへのリンクが結果になります。

#+name: ob-html-ex2
#+begin_src html :results replace file :file example.html
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello</title>
  </head>
  <body>Hello</body>
</html>
#+end_src

どう表示されるかは下をクリックしてね。

#+RESULTS: ob-html-ex2
[​[file:example.html]]

:results には file を指定します。

外部にスクリーンショット画像ファイルを生成し、そのファイルへのリンクを埋め込む

次のコードブロックは評価すると外部にスクリーンショットを含むpngファイル(example.png)が生成されそのファイルへのリンクが結果になります。

#+begin_src html :results replace file graphics :file example.png :width 320 :height 64
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello2</title>
  </head>
  <body>Hello2</body>
</html>
#+end_src

#+RESULTS:
[​[file:example.png]]

:results には graphics を指定します。

スクリーンショットはとりあえずChromeのコマンドラインオプション(いわゆるヘッドレスChrome)で取得するようにしてあります。事前にchromeへのパスを正しく設定する必要があります。

C-c C-oでブラウザで開く

以上は何らかの結果を生成して #+RESULTS: のところに埋め込む方法でした。

しかし肝心の「ブラウザで開く」がまだ実現出来ていません。

org-modeからブラウザで開くというのはorg-babelの「評価」とは何か根本的に違うような気がします。私は別にファイルを書き出したいわけでは無いんです。ファイルを書き出されると管理が面倒なので出来れば書き出して欲しくありません。評価して結果を得たいわけでも無いんです。単にブラウザで見たいだけなんです。

「評価」というよりは「開く」と言った方が良さそうです。

開くと言えば C-c C-o 。org-modeだと org-open-at-point に割り当てられていてポイントにある要素を良い感じに開いてくれます。HTMLコードブロックの上で C-c C-o したら即ブラウザで表示してくれたら便利ではないでしょうか。実は結果がファイルになる場合はすでにそのファイルを開いてくれるようになっています。上の例で言えば、二番目(example.html)と三番目(example.png)は C-c C-o でファイルが開きます。しかし次のように結果が出力されないコードブロックで C-c C-o しても何も起きません。

#+begin_src html
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello</title>
  </head>
  <body>Hello</body>
</html>
#+end_src

このようなコードブロックはファイルが関連付けられていないのでブラウザで表示するのは難しいのですが、一時的にテンポラリファイルに書き出してブラウザで開き、その後テンポラリファイルを削除するというのはどうでしょう。

ob-html.elにそのような機能を追加してみました。 (org-babel-html-enable-open-src-block-result-temporary) 関数を呼び出すと org-babel-open-src-block-result 関数にadviceをかけてテンポラリファイルで表示できるようにします。

(require 'ob-html)
(org-babel-html-enable-open-src-block-result-temporary)

:results silentの時はブラウザで開く

ob-html.elでは:resultsのデフォルト値はsilentにしました。これは ob-org.el がそうだったのでそれを踏襲しました。org-mode全体でのデフォルトはreplaceなのになぜsilentなのでしょうか。org言語は結果を求めるものでは無いという考えがあるのかもしれません。それならばhtmlも同じです。

デフォルトでsilentなので何もヘッダー引数を指定しなかった場合は評価しても何も起こりません。 #+RESULTS: も挿入されません。エクスポートブロックや外部ファイル、画像を生成したければreplaceを指定する必要があります。

silentのときはほとんど何もしないわけですから、このときブラウザで開いてみるのはどうでしょう。

困るときもありそうなので設定で開くかどうか決められるようにしておきました。

セッション対応

残るはセッション対応ですが、これは少し保留させてください。

いくつかやる方法は考えつくのですが、これはhtmlコードブロックだけの範囲を超えています。JavaScriptコードブロックの改善も一緒にやらなければ意味がありません。

2021-08-03-ob-html-screenshot.png
2021-08-01 ,

EmacsのSkewerでライブWeb開発を試す

先日IndiumというJavaScriptの開発環境を試してみましたが、今回はそれと似た用途に使えるSkewerというものを試してみました。

skeeto/skewer-mode: Live web development in Emacs

SkewerはEmacsでライブWeb開発をするためのツールだそうです。

Emacs側で入力したJavaScriptをブラウザ側で実行する仕組みがコアになっています。Indiumと同じようにREPLやソースファイル内のJavaScriptをブラウザ側で実行できます。

また、その仕組みを応用してHTMLやCSSの現在編集している部分をブラウザに反映させる機能もあります(skewer-html-mode, skewer-css-mode)。

変更とリロードを繰り返すのでは無く、編集した部分だけを逐次ブラウザに反映させていきながら開発するスタイルということでライブ開発と呼んでいるのでしょう。

インストール方法

M-x package-install skewer-mode

simple-httpd や js2-mode も一緒に入ります(入っていなければ)。

JavaScriptの実行(ソースコード上とREPLバッファ)を試す

skewerサーバの起動

M-x run-skewer

→ ブラウザで 127.0.0.1:8080/skewer/demo が開きます。

(動作の詳細: M-x run-skewer を実行するとEmacsで実装されたhttpサーバが起動しローカルホスト(127.0.0.1:8080)の /skewer というURLでEmacs側と通信するスクリプトが取得できるようになります。 /skewer/demo ページはそのスクリプトを読み込んでいます。読み込まれたスクリプトは /skewer/get/skewer/post 等のURLにアクセスしてEmacs側と通信し、Emacs側からの要請に応えてブラウザ側で動作します)

(M-x list-skewer-clients を実行するとクライアントが一つ接続されていることが確認できます)

REPLを試す

  1. M-x skewer-repl

    *skewer-repl* というバッファが開きます。

  2. REPLに alert("hello"); と入れる

    → ブラウザ側でアラートダイアログが出ます。

  3. REPLに document.documentElement.innerHTML と入れる

    → バッファに "<head>\n <title>Skewer</title>\n <script src=\"/skewer\"></script>\n </head>\n <body>\n \n\n</body>" と出ます。(使っているブラウザの拡張機能によってはもっと複雑なコードが出る場合もあります。Evernote Webクリッパー!)

ソースファイルの実行を試す(skewer-mode)

  1. 適当な場所にexample.jsというソースファイルを作る(私は普段からjs2-modeを使っています)

    var cv;
    
    if(!cv){
        cv = document.createElement("canvas");
        cv.width = 640;
        cv.height = 480;
        document.body.appendChild(cv);
    }
    
    var ctx = cv.getContext("2d");
    ctx.clearRect(0, 0, 640, 480);
    ctx.fillStyle = "#28f";
    ctx.fillRect(0, 0, 640, 480);
    
    ctx.fillStyle = "#4c2";
    ctx.fillRect(0, 360, 640, 120);
    
  2. Emacsでソースファイルを開いて M-x skewer-mode
  3. ソースファイル内で C-c C-k (skewer-load-buffer) を実行する

    → ブラウザに絵が表示されます。

  4. ソースコード内の色(#xxxの部分)や座標などをいじって何度も C-c C-k

    → 都度変更が反映されます。

  5. C-c C-z

    → REPLバッファが出ます。

  6. REPLに document.body.innerHTML と入力する

    → うわぁ、見るんじゃなかった。どうやってロードしているのかが分かります。

HTMLの更新を試す

  1. M-x httpd-serve-directory で好きなディレクトリを指定

    → 127.0.0.1:8080/ でアクセスできるディレクトリ(ルート)がそのディレクトリになります。

  2. そのディレクトリの下にindex.htmlを作る

    <!DOCTYPE html>
    <html>
      <head>
        <title>Skewer Example</title>
        <script src="/skewer"></script><!-- これが重要 -->
      </head>
      <body>
        <p id="hello">hello, world</p>
      </body>
    </html>
    
  3. ブラウザで 127.0.0.1:8080/index.html を開く
  4. Emacsでindex.htmlを開き M-x skewer-html-mode
  5. worldをworlddddに変更して その場所で C-M-x (skewer-html-eval-tag)

    → ブラウザに反映されます。

    C-M-xではカーソル(ポイント)を置いている要素のみ更新されます。ただしbodyは更新出来ません。

    色々試してみると分かると思いますが、要素の順番を入れ替えたりすると正しく更新されなかったりします。

他にもskewer-css-modeを使えばcssファイルの更新も行えるようです。

任意のページをskewerと接続する

上の例はhtmlにscriptタグを埋め込まなければならないのがちょっとイケてませんよね。

実は必ずしもscriptタグを埋め込まなければならないわけではありません。要は http://127.0.0.1:8080/skewer からJavaScriptを読みさえすれば良いのです。

例えばブラウザのアドレスバーから javascript: プロトコルでスクリプトを読み込むという方法があります。次の文字列をアドレスバーに打ち込むとその時開いているページにskewerのスクリプトが読み込まれEmacsと繋がります。

javascript:(function(){var d=document;var s=d.createElement('script');s.src='http://localhost:8080/skewer';d.body.appendChild(s);})()

このURLをいわゆるブックマークレットにすれば簡単に好きなページとEmacsを接続できます。

他にも開発者用のコンソールからこのコードを実行する方法もあるでしょう。

Emacsパッケージに入っているskewer.jsを別サーバへコピーしてそこから読み込むのはNGです。あくまで M-x run-skewer で起動したEmacs上のhttpdサーバから読み込む必要があります。

この方法で任意のページ(ローカルファイルを含む)でREPLする手順は次のようになります。

  1. M-x run-skewer
  2. 好きなページをブラウザで開く
  3. 次のコードをそのページで実行する(ブックマークレットにしておくとクリック一つで実行できます)

    (function(){var d=document;var s=d.createElement('script');s.src='http://localhost:8080/skewer';d.body.appendChild(s);})()
    
  4. M-x skewer-repl

    *skewer-repl* というバッファが開きます。

  5. REPLに document.body.insertAdjacentHTML("afterbegin", "<p>hello!</p>"); などと打ち込む

    → ページの先頭にhello!と表示されます。

手打ちでhtmlやcssを編集しているときに思いついたら接続して更新を確認しながら作業するといったことが出来そうですね。

終了方法

ブラウザでskewerと繋がっているページを全て閉じます。閉じると M-x list-skewer-clients (gで更新)に出てくるクライアントが消えます。

M-x httpd-stop でhttpサーバが止まります。

org-modeのコードブロック(babel)から使う?

Org-babel-jsによればorg-modeのJavaScriptコードブロック(ob-js.el)はSkewerに対応しているようなこと書かれています。ヘッダー引数に :session "*skewer-repl*" を指定するのだとか。しかし実際にやってみると executing Js code block... というメッセージが出たまま待てど暮らせど反応が返ってきません。ob-js.elを見てみると org-babel-js-initiate-session でreplバッファが無いか無効ならskewerを起動しているのですが、新しく作成したREPLバッファではなくその無い(nil)か無効かのバッファを返しています。そこを直してみても今度はコードをブラウザに送り出した後反応が返ってきません。

Issueに上がっていた方法を試してみましたがこちらもサーバ側でエラーが出て正しく動作しませんでした。

Modification: make org babel js blocks use skewer when it is connected · Issue #65 · skeeto/skewer-mode

解決するにはもう少し詳しく調査する必要がありそうです。

SkewerとIndiumの比較

SkewerもIndiumもEmacs側のJavaScriptをブラウザで実行できるという点は同じです。

単にREPLがしたいだけならSkewerの方が少しだけ簡単でしょうか。Indiumは必ず設定ファイルを作らなければなりませんしデバッグ機能を有効にしたChromeを起動しなければならないので。

依存する外部ツールが少ないのもSkewerの良いところです。Node.jsは不要ですしブラウザもChromeに限定されません。

幅広いブラウザで使用できるのもSkewerの良いところです。IndiumはChromeのリモートでバッグ機能が必要ですが、Skewerはページに専用のスクリプトを注入することで実現しています。

HTMLやCSSを視野に入れている点もSkewerの良いところです。IndiumはあくまでJavaScriptの開発環境です。ただ、SkewerのHTMLやCSSの部分更新は(原理上)正しく機能しない場合も多々あります。

Skewerには本格的なデバッグ機能はありません。ブレークポイントを置いたりステップ実行したいならIndiumを使う必要があります。

SkewerはNode.js用のJavaScriptには対応していません。JavaScript開発というよりはあくまでWeb開発のためのツールです。

Skewerは侵入的であるのに対してIndiumは非侵入的です。Skewerはページにスクリプトを注入しなければなりません。それがページの動作に干渉する可能性はゼロではないでしょう。また、スクリプトを注入する方法を色々考えなければなりません。EmacsからブラウザへJavaScriptを読み込むときもbodyにscript要素を追加することで実現しています。気がつくとbodyがscriptだらけになっていることがありました。

全体的な完成度はChromeのデバッグ機能を使うという筋の良さも手伝いIndiumの方が高い気がしますが、一方で致命的なバグやドキュメントの不親切さも目立ち今回試すにあたってIndiumはかなりハマりました。

今回SkewerやIndiumを試したのはorg-modeのコードブロックから使えるのではないかと期待したからなのですが、結局どちらも使えなかったのにはガッカリしました。

2021-07-30 ,

EmacsのIndiumでJavaScript開発を試す

Emacs用のJavaScript開発環境であるIndiumを試してみました。

NicolasPetton/Indium: A JavaScript development environment for Emacs

一口に開発環境と言っても何が出来るのかよく分からないと思いますが、

  • Emacs側で入力したJavaScriptを実際の実行環境上で実行(評価)して結果を出力する
    • 入力毎に逐次実行するいわゆるREPL
    • 自由に書いて自由に実行できるscratchバッファ
    • JavaScriptソースコード内のコードを実行
  • デバッガー(ステップ実行や値の調査など)

といったことが出来るようです。

実行環境はChromeとNode.jsに対応していて、どちら用のJavaScriptでも実行したりデバッグしたり出来ます。Chromeで言えばデベロッパーツールとしてコンソールやデバッガーがありますが、あれがEmacsから操作できるといえば分かりやすいでしょうか。

私が試してみたきっかけはorg-modeのJavaScriptコードブロック(ob-js.el)がこのIndiumと連携可能だと書いてあったからなのですが、それはまた後ほど。

indiumでデバッグしているところ
図1: indiumでデバッグしているところ

手元の環境

  • Windows 10
  • Emacs 27.2
  • Google Chrome 92
  • Node.js 12

あたりが既に入っています。

インストール

  1. npm install -g indium

    Node.jsでIndiumサーバをインストールします。

  2. M-x package-install indium

    Emacsにindiumパッケージ(Indiumクライアント)をインストールします。

  3. indium-chrome.el の indium-chrome-data-dir部分を変更します。(2021-07-29時点)

    (defvar indium-chrome-data-dir
      (make-directory indium-chrome--default-data-dir t)
      "Chrome profile directory used by Indium.")
    

    ↓へ変更。

    (defvar indium-chrome-data-dir
      (progn
        (make-directory indium-chrome--default-data-dir t)
        indium-chrome--default-data-dir)
      "Chrome profile directory used by Indium.")
    

    必要に応じて.elcを削除したりコンパイルし直したりしてください。既にロードしてしまっている場合は変数の値を再設定してください。

    これをやらないとChromeがエラーを出します。

    Chromeの起動時に出たエラー。nilディレクトリ
    図2: Chromeの起動時に出たエラー。nilディレクトリ

    IndiumはデフォルトだとChromeを独立したプロファイルで起動します。そのプロファイルを置くディレクトリをmake-directoryで作るのは良いのですがmake-directoryの戻り値であるnilを変数に入れてしまっています。

プロジェクト設定を行う

  1. プロジェクトディレクトリを作る

    まずは何をするにもプロジェクト設定ファイルが必要です。その設定ファイルが置いてある場所を基準に色々な動作が決められているので、まずはそれを置くプロジェクトディレクトリを作りましょう。

  2. プロジェクト設定ファイルを作る

    プロジェクトディレクトリの下に .indium.json というファイルを作ります。

    内容は次の通り。

    {
        "configurations": [
            {
                "name": "Local Host 8080 Page",
                "type": "chrome",
                "url": "http://localhost:8080/index.html"
            }
        ]
    }
    

    nameは適当な名前を付けてください。

    typeは実行環境の種類です。chromeかnodeが指定出来るみたいです。今回はchrome。

    urlはtypeにchromeを指定した場合のオプションで、Chromeからどのページを開くか(デバッグ対象にするURL)を指定します。Chromeから開けるページならどこでもOKです。普通は自分の開発中のページを指定することになりますが、他人様のページを指定することも出来ますし(変なデータを送りつけるのは止めましょう)、ローカルファイル(file:///)を指定することも出来ます。

    例えば次のようにするとGitHubのIndiumのページがデバッグ対象になります。

    {
        "configurations": [
            {
                "name": "Indium Page",
                "type": "chrome",
                "url": "https://github.com/NicolasPetton/Indium"
            }
        ]
    }
    

    また次のようにするとローカルにあるファイルがデバッグ対象になります。

    {
        "configurations": [
            {
                "name": "My Local Directory",
                "type": "chrome",
                "url": "file:///home/hoge/indium-tutorial/index.html"
            }
        ]
    }
    

Windowsでローカルファイルを指定するときの注意点

Windowsでurlにローカルファイル(file:/// プロトコル)を指定した場合、デバッグ(ブレークポイントの設定)が正しく行えない問題に遭遇しました。

調べてみたところ、例えば file:///C:/home/hoge のようなURLが /C:/home/hoge のように頭にスラッシュが残されたパスに変換されてしまう箇所があるようです。例えばindiumサーバのソースコード server/helpers/workspace.js の resolveUrl 関数に fileプロトコルの時の処理があるのですが、ここで /C:/C:/ に変換していないためにWindowsではおかしなパスになってしまいます。他にも問題があるようで、そこを直しただけでは解決しませんでした(逆変換とかがどこかにある?)。その上のconvertRemoteRootを見るとremoteRootオプションで指定した文字列を空文字列で置き換えています。この動作を利用すれば問題を回避することが可能です。

回避方法ですが、remoteRootオプションにプロジェクトディレクトリへのフルパスを頭にスラッシュを付けて指定します。

{
    "configurations": [
        {
            "name": "My Local Directory(Windows)",
            "type": "chrome",
            "remoteRoot": "/C:/home/hoge/indium-tutorial/",
            "url": "file:///C:/home/hoge/indium-tutorial/index.html"
        }
    ]
}

remoteRootオプションがあると、その文字列を手元のプロジェクトディレクトリに置き換えてくれます。これでスラッシュから始まる不正なパスを正しいパスへ置き換えることが出来ます。

httpサーバの起動

urlに localhost:8080 などと指定した場合は自分で別途Webサーバを起動する必要があります。お手軽に起動できるサーバが色々あるみたいなので好きな物を使ってください。

Emacsで完結するならsimple-httpdがお手軽です。 M-x httpd-serve-directory だけで完了です。

色々遊ぶ

  1. まずプロジェクトディレクトリ下にindex.htmlを作ります。

    <!DOCTYPE html>
    <html>
      <head>
        <title>Test</title>
      </head>
      <body>
        <p id="hello">hello, world</p>
      </body>
    </html>
    
  2. プロジェクトディレクトリ下で M-x indium-launch を実行します。

    するとデバッグ用オプションの付いたChromeが起動してurlオプションで指定したページが開きます。(indium-chrome-data-dir変数の場所にChromeプロファイルが出来てその上で実行されるはず)

    Emacs側では *JS REPL* という名前のバッファが開きます(以下REPL)。

  3. REPLに document.getElementById("hello").innerText; (単に hello.innerText でも良い)と入れると "hello, world" が返ってきます。
  4. REPLに document.body.insertAdjacentHTML("beforeend", "Konnichiwa!"); と入れるとブラウザに Konnichiwa! と表示されます。
  5. プロジェクトディレクトリの下にexample.jsを作ります。

    var cv = document.createElement("canvas");
    cv.width = 640;
    cv.height = 480;
    var ctx = cv.getContext("2d");
    function draw(color){
        ctx.fillStyle = color || "blue";
        ctx.fillRect(0, 0, 640, 480);
        document.body.appendChild(cv);
    }
    draw();
    
  6. REPLに次のように入れるとexample.jsがロードされて画面に青い矩形が出ます。

    var script = document.createElement("script");
    script.src = "example.js";
    document.body.appendChild(script);
    
  7. REPLに次のように入れると赤い線が出ます。

    ctx.lineWidth = 2;
    ctx.strokeStyle = "red";
    ctx.moveTo(0, 0);
    ctx.lineTo(640, 480);
    ctx.stroke();
    
  8. Emacsでexample.jsを開いてdraw()関数内の一行目にブレークポイントを置きます。 M-x indium-add-breakpoint か、または M-x indium-interaction-mode の後に C-c b b でブレークポイントを置けます。
  9. REPLに draw("red"); を入れるとブレークポイントの位置にカーソルが飛びます。
  10. l を押すとローカル変数一覧が出ます。colorが"red"になっていることが分かります。 SPC でステップ実行したり c で実行を再開したりできます。
  11. M-x indium-quit で接続を切ります。専用プロファイルで起動しているChromeも閉じましょう。

Node.jsでも遊ぶ

Node.js用のJavaScriptをデバッグすることも出来ます。

新しくプロジェクトディレクトリを作り、設定ファイルを作り、適当なJavaScriptファイルを作ります。

まずは設定ファイル(.indium.json)を作ります。

{
    "configurations": [
        {
            "name": "Example",
            "type": "node",
            "program": "node",
            "args": "./example.js",
            "inspect-brk": true,
            "remoteRoot": "/c:/home/hoge/indium-node-example/"
        }
    ]
}

typeはnodeとします。

argsに実行するJavaScriptファイルを指定します。

inspect-brkがtrueだと最初でブレークします。

Windowsでは残念ながらNode.jsでも /c:/ で始まるパスの問題でうまくデバッグが出来ませんでした(M-x indium-list-script-sources で確認できます)。それを回避するためにremoteRootを指定しています。

適当なJavaScriptファイル(example.js)を作ります。

function concat(a, b){
    return a + b;
}
const hw = concat("hello, ", "world");
console.log(hw);

あとはこのディレクトリで M-x indium-launch すれば最初の所(上の例では const hw のところ)に飛びます。ステップインしてconcat関数の中に入り、 *JS REPL* バッファで a とか b とか打ってみてください。変数の値が確認できます。

org-modeのコードブロック(babel)から使う?

Org-babel-jsによればorg-modeのJavaScriptコードブロック(ob-js.el)はIndiumに対応しているようなこと書かれています。ヘッダー引数に :session "*JS REPL*" を指定するのだとか。しかし(プロジェクトファイルを作った上で)実際にやってみると org-babel-execute:js: Symbol’s function definition is void: indium-run-node というエラーが出ます。Indiumには現在 indium-run-node という関数は無いのでどうやら現在は動かなくなってしまっているようです。

IndiumにもIssueが上がっています。

Question: org-mode ob-js.el sessions · Issue #234 · NicolasPetton/Indium

org-modeから使うなら自分で改造する必要があると思います。

2021-07-29

新しい寝タブ用タブレットスタンドを購入

以前寝タブ用にタブレットスタンドを購入したのですが最近はほとんど使っておらず布団の脇に放置されていました。というのも

  1. アームが短く頭のすぐ近くに置かなければならないこと
  2. 頭の近くにあると使わないときに邪魔なので遠ざけたいがアームが曲げづらく土台ごと遠ざけなければならないこと
  3. 土台ごと遠ざけると次に使うのが億劫になること(土台は布団の下に挟み込まれているので簡単には動かない)

あたりが原因だと思います。他にもアームが曲げづらいので使っている間の調整が難しいこともあると思います。

使わないアームが布団の脇にずっと放置されているのも何だか不愉快になってきたので、代わりのものを探してみたところ良さそうな商品が見つかりました。

タブレットスタンド スマホ ホルダー 360度回転可能 38cm-140cm高さ調節可能 主体調節でき 折り畳み式 フレキシブルアーム 寝ながら 根元強化 下垂防止 3.5~10.6インチ 便利スタンド

これこれ、こういう昔ながらの電器スタンドのアームみたいなタイプが欲しかったんです。以前探したときにはなかなか見つからなかったのですが最近はタブレットスタンドのバリエーションもかなり増えてきたのかもしれませんね。

届いたので早速組み立てて使ってみました。

一番下の直線部分は2本のパイプをパイプに切られたネジで連結する仕組みになっています。1本だけ使って低くすることも可能。それを土台のネジに繋げます。

直線パイプの上、一番最初の可動部分はアームパーツを下のパイプ上部の穴に差し込むだけになっています。なのでこの部分が垂直軸まわりに360度自由に動きます。邪魔なときにアームをよけておくのに使えます。

アームはかなり広範囲に動きます。パイプ2本だと高いかなと思ったのですが、アームによってかなり低い位置まで下ろせます。もちろん高い位置にもできるので目からの距離を使用中に柔軟に調整できます。

唯一の欠点はタブレットを挟む部分がタイトなことでしょうか。バネによってタブレットを挟んで固定するのですが、10インチタブレットだとかなりギリギリです。挟む力がかなり強いので挟みっぱなしだとそのうち本体が変形しないか心配になります。まぁ、多分大丈夫だとは思いますが……。

というわけでかなり満足度の高いタブレットスタンドでした。

2021-07-28

Emacsでモードライン内の上下に空白を増やす

この間MeiryoKe_ConsoleとInconsolataを合成したフォントを作成してEmacsではそれを使うようにしたのですが、合成したフォントはMeiryoKe_Consoleの寸法がベースになっているのでグリフの上下に余白が少なくモードラインの上下も何だか詰まった感じになってしまいました。

上下が詰まったモードライン
図1: 上下が詰まったモードライン

以前はInconsolataに上下の余裕がたっぷりあったので気にならなかったのですが。

というわけでちょっと余白を増やしてみました。モードラインの内容は mode-line-format 変数で指定できますが、その中ではテキストプロパティを自由に設定できるようになっています。テキストプロパティを設定できると言うことは、そう、おなじみのdisplayプロパティが使えるというわけですね。

今回はモードラインの先頭にdisplayプロパティによって空白を作り出し、その空白の幅、高さ、アセントを設定することで上下の余白をコントロールすることにしました。

;; モードラインの上下内側に空白を設ける。
;; 変数をリスキーだと指定しないとテキストプロパティが反映されないので注意。
(defvar my-mode-line-height
  '((:propertize " " display (space . (:width (1) :height (22) :ascent (16)))))) ;;w=1px, h=20px, ascent=16px
(put 'my-mode-line-height 'risky-local-variable t)

;; mode-line-formatの先頭に'my-mode-line-heightを挿入する。
;; 末尾に挿入すると長いファイル名で右端がフレーム外に出ると空白も消えてしまう。
;; バッファローカル変数なのでsetq-defaultを使う。
(setq-default mode-line-format
              (append (list "" 'my-mode-line-height) ;;先頭は文字列じゃないとダメ
                      mode-line-format))

:height でモードライン全体の高さを指定します。 :ascent でベースラインより上の高さを指定します。 :ascent を増やすと上の余白が増えて下の余白が減ります。

上下に余白を増やしたモードライン
図2: 上下に余白を増やしたモードライン

他にもface(mode-line や mode-line-inactive)の:box属性を使って境界線の幅を増やし色もバックグラウンドと同じにする方法もあるようです。今時のフラットな見た目ならこっちの方が手軽かもしれません。左右に少し空白が空くとは思いますが数ピクセルくらいなら気にならないでしょう。

参考: faces - Padding around modeline text? - Emacs Stack Exchange

2021-07-27

dired-details-rを修正する

皆さんは dired-dwim-target 変数を使ってますか? diredでコピー先や移動先を良い感じに推測してくれる機能です。分割ウィンドウで他のディレクトリを開いているとコピー先や移動先をそのディレクトリにしてくれます。古からある二画面ファイラーなんかではおなじみの機能ですね。ついでにM-nで出る「未来の履歴」にもいくつか候補を設定しておいてくれます。(EmacsではM(Alt)-p(previousのp)で過去の履歴をたどれてM-n(next)で現在に戻ってこれますが、現在を越えてM-nを押すとこれから選びそうな候補が出てくるというUIの考え方が(一部で)あります)

それでコピーや移動のときには大変便利なのですが、ファイル名を変更するときにはよくミスを犯してしまうのです。なぜならファイル名の変更と移動は同じRキーに割り当てられているからです。名前の変更はファイルの移動と同じ、または逆にファイルの移動はディレクトリパスも含めた名前の変更と同じと考えられるからです。Unixではどちらもmvコマンドですし。それでファイル名を変更しようとRキーを押したとき、 dired-dwim-target が有効だとたまたま開いていた別のディレクトリが移動先として設定されてしまうわけです。それに気がつかずに新しいファイル名を入力してEnterを押すと、ファイル名も変わるのですが同時に別のディレクトリにファイルが飛んで行ってしまうわけです。ぎゃー!

というわけでどうにかならないのかなと。移動と名前の変更が同じキーになっているのが原因ですから、別のキーに割り当てて候補の出方を変えるというのも手です。小文字のrは使っていないのでここに「ファイル名変更(ディレクトリ変更不可)」を割り当てるとか。でも非標準の操作体系を増やすと別のマシンを使うときに戸惑うのであまりやりたくありません(いまさら!)。安全優先でRは名前変更のための候補を優先して出し、移動先の候補はM-nで出すだけで十分かもしれません。と、Twitterでつぶやいたのですが……

「名前変更には wdired 使ってます」との天の声が。

なんとそんな使い分けの方法があったとは!

wdiredとはファイル一覧のファイル名部分をテキストエディタの要領で編集するとファイル名が変わってくれるという便利機能です。

しかし私がwdiredを使っていないのには理由がありまして、以前wdiredを試したときにファイル名の入力がうまくいかなかったり、うまく行っても表示がおかしくなったりしたのです。

というのも私はdired-details-rというファイルサイズやタイムスタンプなどの詳細をファイル名の右に出す拡張を作っていて、どうもそれが悪さをしているようなのです。

しかしそれを直してしまえばwdiredを使ってみるのもやぶさかではありません。

というわけで重い腰を上げて dired-details-r を直すことにしました。他にも色々直したいところがあったのでついでに直すことにしました。

  • wdiredでファイル名を編集したときにファイル名の先頭でread-onlyエラーで書き替えられないことがあったり、書き替えられても書き替えた部分が表示されないことがある不具合を修正
  • ファイル名の末尾にカーソル(ポイント)を合わせられない不具合を修正(詳細情報の右に飛ぶ。wdiredでファイル名の末尾に文字を追加すると追加した部分だけ詳細情報の右に表示される!)
  • カスタマイズまわり(グループとか型とか)の修正
  • マイナーモード化(dired-details-r-mode)
  • 一部のファイルだけ更新がかかったときに列が乱れる不具合の修正
  • "(" キーでの表示切り替えで元の表示形式(詳細の左表示)に戻せる機能を追加(wdiredでパーミッションを編集したい場合に備えて)
  • 設定のデフォルト値の調整
  • 導入方法の修正(以前はrequireするだけでしたが、マイナーモード化したので (dired-details-r-setup) を呼び出すか自分でマイナーモードを起動するか選択可能に)

以上を修正。

dired-details-r + all-the-icons
図1: dired-details-r + all-the-icons

晴れてwdiredが正常に使えるようになりました。

wdiredでのファイル名変更手順は、C-x C-q で編集を開始し、ファイル名を書き替えてから C-c C-c または 再度C-x C-q。Rを押してファイル名を書くより面倒かなと思ったのですが案外違和感がありません。C-x C-qはリードオンリーモードの切り替えでよく使うキー操作です。通常diredはリードオンリーモードになっていてテキストを書き替えられませんが、リードオンリーモードを解除してファイル名部分を書き替えて確定、または再度リードオンリーモードを有効にする、というある意味自然な流れなのは知っていました。しかしそうは言ってもタイプ数が増えるのだから面倒だろうと思ってもいたのですが、想像していたよりも違和感なく素早く操作できます。しばらく名前の変更はwdired縛りで行こうと思います。一括変更はさすがに % m でマークして % R で正規表現置換した方が楽な気もしますがどうでしょうね。

色々ときっかけを頂いたiquiwさんありがとうございました。

2021-07-24 ,

月の満ち欠け画像をアジェンダに表示する

以前月の出、月の入り、月齢をorg-modeのアジェンダに表示する仕組みを作った(moonrise-el)のですが、その時に月の満ち欠けを画像で表示できたらなぁと思っていたのでした。

というのも Emacs で時の流れを感じる - Qiita という記事でモードラインに月の満ち欠けを表示しているのを見ていいなーと思っていたからです。

その記事で紹介しているコードではU+1F311からU+1F318にある絵文字を使用して月の満ち欠けを表現しているのですが、私の使っているEmacsではフォントの設定が十分ではなく絵文字が表示できないのでその方法は使えませんでした(Windowsではカラー絵文字が使えないというのもあります)。

最近all-the-iconsを導入したのですが、その中に入っていた Weather Icons というフォントに月の満ち欠けのグリフが入っているのを見つけました。

Weather Icons内のグリフ
図1: Weather Icons内のグリフ

これを使うと次のようなコードで月の満ち欠けを表現できます。

(insert (all-the-icons-wicon "moon-14")) ;;0から27まで指定可能

これは使えると思い次のコードを作成しました。

(require 'all-the-icons)
(setq moonrise-moon-age-format
      (lambda (age)
        (concat (format "(%.2f) " age)
                 (all-the-icons-wicon
                  (format "moon-%d"
                          (mod (round (* (/ age 29.53) 28)) 28))
                  :v-adjust -0.1))))

本当は太陽と月の黄経差から求めた方が良いのですがmoonrise-elにはその機能が無いのでとりあえず月齢を使って計算しています。(2021-07-25追記:moonrise-elに月相を計算する機能を追加しました。現在は何も設定しなくても画像が出ます)

早速実行してみたのですが、org-modeのアジェンダでは正しいグリフが表示されません。calendarからL m(calendar-moonrise-moonset)やL d(calendar-moonrise-moonset-month)したときは正しく表示されます。

org-agendaで正しく表示されないグリフ
図2: org-agendaで正しく表示されないグリフ
calendarで正しく表示されるグリフ
図3: calendarで正しく表示されるグリフ

調べてみたところorg-agenda.el内でテキストプロパティfaceを'org-agenda-calendar-sexpに設定してしまうのが原因でした。all-the-iconsはテキストプロパティのfont-lock-faceにフォントファミリーを指定することで狙ったフォントでグリフを表示させるの仕組みなので、faceが指定されると違うフォントが選択されて正しいグリフで表示されなくなってしまいます。

困りました。このためだけにorg-agenda.elに手を入れるのは気が進みません。

何か良い方法は無いものか。describe-charでテキストプロパティの状態を眺めているとall-the-iconsが出力したfont-lock-faceプロパティ自体はバッファに反映されている点に気がつきました(faceプロパティが追加されたのでそちらが優先されているわけです)。つまり上の設定のlambda関数の中で生成したテキストプロパティ自体は正しくアジェンダバッファに反映されているわけです。テキストプロパティが使えるのなら画像を表示するのは簡単です。displayプロパティを使えば良いのです。

まず月の満ち欠けを表す画像を用意します。たまたまPCに入っていたBlenderでサクッと作ってみました。球と平行光源とカメラを置いて光源の向きをグルッと回すアニメーションを設定してレンダリングするだけです。

Blenderで画像を作る
図4: Blenderで画像を作る
レンダリングされた画像
図5: レンダリングされた画像

次に変数moonrise-moon-age-formatにはその画像を使うdisplayプロパティ付きの文字列を生成する関数を指定します。

(setq moonrise-moon-age-format
      (lambda (age)
        (concat (format "(%.2f) " age)
                (propertize
                 "A" 'display
                 (create-image
                  (format "~/tmp/moonphases/moonphase-%02d.png"
                          (min 30 (round (* (/ age 29.53) 30))))
                  nil nil
                  :ascent 'center)))))

すると狙い通りagendaバッファ上に月の満ち欠けが画像で表示されました。

org-agendaで正しく表示された月画像
図6: org-agendaで正しく表示された月画像

無事目的は達成できたのですが画像ファイルを管理するのが面倒です。よく考えてみたらSVGが使えるのですからEmacs内で生成してしまえば良さそうなものです。球の光が当たる境目は三角関数で簡単に求められるでしょう。

(require 'svg)
(defun moonrise-create-moon-svg (age size)
  (let* ((svg (svg-create size size))
         ;; 円の中心と半径
         (cx (* 0.5 size))
         (cy (* 0.5 size))
         (radius (* 0.48 size))
         ;; 円の分割数
         (ndiv 32)
         (2pi/ndiv (* 2.0 (/ pi ndiv)))
         ;; 月齢をラジアンへ
         (age-rad (* 2.0 pi (/ (min (max age 0.0) 29.53) 29.53)))
         ;; 光が当たる部分の右側と左側の位置
         (right-edge (if (<= age-rad pi) 1.0 (- (cos age-rad))))
         (left-edge (if (>= age-rad pi) 1.0 (- (cos age-rad)))))
    ;; 光が当たっていない月の全球
    (svg-circle svg cx cy radius :fill "#000")
    ;; 光が当たっている部分
    (svg-polygon
     svg
     (cl-loop for i from 0 to ndiv
              collect (let ((i-rad (* i 2pi/ndiv))
                            (edge (if (< (* 2 i) ndiv) right-edge left-edge)))
                        (cons (+ cx (* (sin i-rad) radius edge))
                              (- cy (* (cos i-rad) radius)))))
     :fill "#ffc")
    (svg-image svg :ascent 'center)))

試しに画像をバッファに挿入してみると正しく表示されます。

(cl-loop for i from 0 to 28 do
         (insert-image (moonrise-create-moon-svg i 16)))
EmacsのSVGでレンダリングされた月画像
図7: EmacsのSVGでレンダリングされた月画像

これを使う設定は次のようになります。

(setq moonrise-moon-age-format
      (lambda (age)
        (concat (format "(%.2f) " age)
                (propertize
                 "A" 'display
                 (moonrise-create-moon-svg age 16)))))

ちゃんと狙い通り表示されました。

org-agendaで正しく表示された月SVG画像
図8: org-agendaで正しく表示された月SVG画像

Emacsでは、設定に文字列をフォーマットする関数を指定することが良くあると思います。そういった場所では今回と同様の手法でSVG画像を使える可能性があります(返した文字列のテキストプロパティがそのままバッファにinsertされていることが必要です)。他の用途でも応用が利くかもしれないなと思いましたので紹介してみました。

#モードラインなんて全体をSVGで書いちゃえば良いんじゃないの?(テキストまわりの制御が難しいか?)

2021-07-23

neotreeで(setq neo-smart-open t)すると固まる(Windows)

neotreeを試してみたのですが、neo-smart-openをtにするとf8に割り当てたneotree-toggleを押したときに固まることがありました。普通のファイルを開いているときは固まらず、scratchやdiredでディレクトリを開いているときに固まるようです。

コードを追ってみたところ neo-buffer--select-file-node 関数の中で無限ループに陥ってしまう場所を見つけました。

https://github.com/jaypei/emacs-neotree/blob/98fe21334affaffe2334bf7c987edaf1980d2d0b/neotree.el#L1632

親ディレクトリへ移動するループで、ルートに到達したかの判定を"/"と比較することで行っています。Windowsでは"c:/"等がルートで何度neo-path--updirを適用しても決して"/"になりませんからいつまで経っても終わりません。

とりあえず"/"を"c:/"にしたら直ったのですが、それではあんまりなのでupdirしたときにパスが変化しなかったら終わらせるようにしてみました。

うまくadviceもかけられないしneotree.el読み込み後に関数まるごと再定義。neotreeはそんなに頻繁に更新されていないみたいなのでまあいいか。

(with-eval-after-load "neotree"
  (defun neo-buffer--select-file-node (file &optional recursive-p)
    "Select the node that corresponds to the FILE.
If RECURSIVE-P is non nil, find files will recursively."
    (let ((efile file)
          (iter-prev-dir nil) ;;ADD
          (iter-curr-dir nil)
          (file-node-find-p nil)
          (file-node-list nil))
      (unless (file-name-absolute-p efile)
        (setq efile (expand-file-name efile)))
      (setq iter-curr-dir efile)
      (catch 'return
        (while t
          (setq iter-prev-dir iter-curr-dir) ;;ADD
          (setq iter-curr-dir (neo-path--updir iter-curr-dir))
          (push iter-curr-dir file-node-list)
          (when (neo-path--file-equal-p iter-curr-dir neo-buffer--start-node)
            (setq file-node-find-p t)
            (throw 'return nil))
          (let ((niter-curr-dir (file-remote-p iter-curr-dir 'localname)))
            (unless niter-curr-dir
              (setq niter-curr-dir iter-curr-dir))
            (when (or (string= iter-curr-dir iter-prev-dir) ;;ADD
                      (neo-path--file-equal-p niter-curr-dir "/"))
              (setq file-node-find-p nil)
              (throw 'return nil)))))
      (when file-node-find-p
        (dolist (p file-node-list)
          (neo-buffer--set-expand p t))
        (neo-buffer--save-cursor-pos file)
        (neo-buffer--refresh nil)))))