Yearly Archives: 2021

2021-09-11

The Emacs Widget Libraryのプッシュボタンを連打できない問題を解決する

プッシュボタンが連打できなくて修正しようとしたらドハマリして時間を大量に無駄にしたのでメモ。

Widgetライブラリのpush-buttonを連打しようとするとダブルクリックやトリプルクリックと判定されてボタンが押せなくなります。そしてなぜか範囲選択が始まったりします。「+」「-」とか「Previous」「Next」等をプッシュボタンにすると連打できないのはとても気になるので何とかしました。

次のコードは何とかしたカウンターアプリケーションの例です。 M-x my-count で単純なカウンターが動きます。

(require 'widget)

;; ダブルクリック、トリプルクリックに対応した `widget-button-click' の代わりです。
(defun my-widget-button-click (event)
  (interactive "e")
  ;; Add double and triple click support to widget-button-release-event-p
  (cl-letf (((symbol-function 'widget-button-release-event-p)
             'my-widget-button-release-event-p))
    (widget-button-click event)))

;; ダブルクリック、トリプルクリックに対応した `my-widget-button-release-event-p' の代わりです。
(defun my-widget-button-release-event-p (event)
  (and (eventp event)
       (memq (event-basic-type event) '(mouse-1 mouse-2 mouse-3))
       (or (and (or (memq 'double (event-modifiers event)) ;;double click
                    (memq 'triple (event-modifiers event))) ;;triple click
                (null (memq 'down (event-modifiers event))))
           (memq 'click (event-modifiers event))
           (memq 'drag (event-modifiers event)))))

(defvar my-push-button-map
  (let ((km (make-sparse-keymap)))
    (define-key km [drag-mouse-1] 'ignore)
    (define-key km [double-down-mouse-1] 'my-widget-button-click)
    (define-key km [triple-down-mouse-1] 'my-widget-button-click)
    km))


(defvar-local my-number-widget nil)
(defun my-increase (delta)
  (widget-value-set
   my-number-widget
   (+ (widget-value my-number-widget) delta)))
(defun my-inc (&rest _) (my-increase 1))
(defun my-dec (&rest _) (my-increase -1))

(defun my-counter ()
  (interactive)
  (pop-to-buffer "*my counter*")
  (kill-all-local-variables)
  (let ((inhibit-read-only t))
    (erase-buffer))
  (remove-overlays)
  (setq-local my-number-widget
              (widget-create 'number
                             :size 10
                             :value 0))
  (widget-insert " ")
  (widget-create 'push-button
                 :notify 'my-dec
                 :keymap my-push-button-map ;;support double and triple down
                 "Decrement")
  (widget-insert " ")
  (widget-create 'push-button
                 :notify 'my-inc
                 :keymap my-push-button-map ;;support double and triple down
                 "Increment")
  (widget-insert "\n")
  (use-local-map widget-keymap)
  (widget-setup)
  (widget-forward 1))

問題の原因は次の二点にありました。

  • ダブル、トリプルクリックのキーマップが割り当てられていないこと
  • マウスのボタンが離されたことを判定する関数がダブル、トリプルクリックに対応していないこと

プッシュボタンの処理はローカルマップのdown-mouse-1に割り当てられたwidget-button-click関数によって行われています。その中では押された位置のボタンを割り出して、ボタンが離されるまで追跡し、ボタンに関連付けられたアクションを実行します。途中でキャンセルされたらグローバルマップのマウスイベントに割り当てられたコマンドを実行します。

ローカルマップのdouble-down-mouse-1とtriple-down-mouse-1にwidget-button-clickが割り当てられていないのが問題なのだと思い割り当てたのですが変わりませんでした。

widget-button-click関数の中ではwidget-button-release-event-pという関数を呼んでいてイベントがマウスボタンを離したものかを判定しています。そこがclickとdragのみを考慮していてdoubleやtripleを考慮していません。なのでボタンを離しても離されていないものとしてずっと追跡を続けてしまっていました。

上の例ではcl-letfを使用してダブルクリック、トリプルクリックが発生したときだけwidget-button-release-event-pの中身を入れ替えることで対処しています。従ってwidgetライブラリ内の構造が変わると動かなくなるかもしれません。

以上ですが、誰得情報なんだこれ。

2021-09-06

Emacs用のSVG実装のカラーピッカー

先日からEmacsの中で動く作図ツールを作っています。

https://github.com/misohena/el-easydraw

その一環として今日はカラーピッカーを作りました。この手のソフトには必ずあるアレです。

Emacs上での先行事例はいくつかあるようでしたがSVGでの実装は見当たりませんでしたし、まぁ、自分で作りたいじゃないですか。こういうの作るの楽しいですし。

というわけで出来たのがこちら。

https://github.com/misohena/el-easydraw/blob/master/edraw-color-picker.el

一応ライブラリとして他で使い回すことを考えています。

応用としてとりあえず作ったコマンドがいくつか。

edraw-color-picker-read-colorread-colorの代わりを意識して作った色入力コマンドです。ミニバッファ内にカラーピッカーを配置してみました。文字からでもカラーピッカーからでも色を選択できます。

ミニバッファ内に表示されるカラーピッカー
図1: ミニバッファ内に表示されるカラーピッカー

edraw-color-picker-insert-colorは選択した色をそのままバッファに挿入するコマンドです。またedraw-color-picker-replace-color-at-pointは現在のポイントの位置にある色表記を読み取ってカラーピッカーで選択した色に置き換えるコマンドです。これらはバッファ内にインラインでカラーピッカーが表示されます。

インラインで表示されるカラーピッカー。
図2: インラインで表示されるカラーピッカー。

SVGは本当に簡単でこういう絵を出すのはサクッとすぐに出来ます。いや、本当は少し調査が必要だったのが二点。meshGradientの対応状況と色相バーの仕様です。こういう二次元のグラデーションで連想するのがメッシュ状の図形(いわゆるポリゴンの組み合わせ)で頂点に色を設定する仕組みです。3Dグラフィックスではおなじみですよね。SVGにも似たような仕組みがあったようなと調べてみたのですが、残念ながらEmacs(というかlibrsvg)では対応していないようですね(そもそもmeshGradient自体がSVG2から先送りされてたんですね)。幸い二枚のグラデーションを重ねれば良いとすぐに気がつけました。もう一点の色相バーですが、これ6色(赤、黄、緑、水、青、紫)を均等に並べて線形補間すればいいだけみたいですね。というわけでそれさえ分かればこういうカラーピッカーの絵自体はすぐに作れました。

画像内の各パーツは「領域」というオブジェクトで構成されています。指定に基づいて「領域」をレイアウト処理することで、いくらか柔軟に構成要素を増やしたり減らしたりできるようになっています。

領域にマウスイベントを配信(ディスパッチ)する仕組みを作り、それに反応して各部が動くようにしていきます。マウスイベントを受けて関連付けられた値が変わり、値の変更が通知されて表示が変わります。

各領域で選択した場所から最終的な色を求める方法ですが、色相バー(1次元)→彩度明度領域(2次元)→不透明度バー(1次元)の順に処理していきます。色相バーで選んだ色が彩度明度領域の右上の色になります。彩度明度領域は水平のグラデーション(左:白から右:色相選択色)の上に垂直グラデーション(上:透明黒から下:不透明黒)が重なっています。選んだ位置によって線形補間で水平、垂直の順で色を求めていきます。その色が今度は不透明度バーの上の色になって、最後に不透明度バーで選択した不透明度をその色に適用して完了です。仕組み自体はグラデーションの内容に依存していないので、色相、彩度、明度の軸を入れ替えても機能すると思いますし、1次元バーを緑、2次元領域を青と赤、などとしても大丈夫だと思います。(そのための切り替えUIを作るのが面倒くさかったのでやってませんが)

こうして出来たSVG画像はテキストプロパティまたはオーバーレイを使ってEmacs内に表示されます。というかEmacsではそれしか画像を表示する方法はありません(環境依存性の強い方法を除けば)。テキストプロパティでも良いのですが、オーバーレイの方がこういう用途では使いやすいでしょう。

オーバーレイにも画像を表示できる場所が三つあります。before-stringとdisplayとafter-stringです。displayはいいとして、before-stringとafter-stringですが、これはオーバーレイの前後に文字列を挿入するためのプロパティです。一見画像とは関係なさそうですが、この文字列にpropertize関数でdisplayテキストプロパティを適用するとオーバーレイの前後にさらに画像を表示することが可能になります。

これら色々ある表示方法を都合に合わせて選択できるように構造には柔軟性を持たせてあります。

先行事例を見てみると表示にフレームを使っているものがありました。普通のフレームを使っているものやchild frameという比較的最近のEmacsで使えるようになった仕組みを使っているものもありました。child frameを使うとフレーム内の好きな位置に重ねることが出来るのでポップアップで情報を出すパッケージで使われているようです。

とはいえフレームは扱いが難しく勉強が必要なので、とりあえずオーバーレイだけで出来る範囲で実装しています。

カラーピッカーはどこに表示すれば良いのでしょうか。だいたいポイント(やマウスカーソル)の近くですよね。ただ、ポイントの左や右にカラーピッカーのオーバーレイを挿入すると行が大きく膨らんで見づらくなってしまいますし、ウィンドウの左右からはみ出して見えなくなってしまうこともあります。となれば上の行か下の行に表示してはどうでしょう。上の行や下の行に適切な表示カラムが無いならどうすればいいでしょうか。幸いオーバーレイは行を新たに作ることが出来ます。before-string、display、after-stringの各プロパティにはそれぞれ文字列が指定できますが、いずれでも"\n"を入れることで改行が出来ます。例えば現在ポイントが20カラム目にあるとして、その真下付近に画像を表示するには、行末の改行文字にオーバーレイをかけて、before-stringを "\n " (←空白20個 - 画像の幅/2くらい)、displayに画像、after-stringに "\n" を指定してやればOKです。水平スクロールしている可能性があるのでwindow-hscrollの値を考慮するのを忘れずに。

また、ミニバッファに色を入力するようなシチュエーションでは画面の下の方にカラーピッカーを表示して欲しいです。いや、いっそのことミニバッファ内にカラーピッカーを入れたらどうでしょう。ここでもオーバーレイに改行させれば上をカラーピッカー、下を入力欄とすることが出来ます。ただし一つ注意点が。バッファの先頭にオーバーレイを入れたいわけですが、先頭の1文字にかけるとbefore-stringに画像を設定しなければならずその後に改行が入れられません。displayで改行すると1文字目が(改行に置き換わって)表示されなくなってしまいますし、after-stringで改行すると1文字目の後で改行されてしまいます。なので先頭の空の範囲((point-min)から(point-min)まで)にオーバーレイを設定します。注意点が二つ。evaporateプロパティがtだと空の範囲になった段階でオーバーレイが消えてしまいます。なのでevaporateは使わずちゃんとオーバーレイを管理する必要があります。もう一点は空の範囲のオーバーレイではdisplayプロパティが機能しないということ。before-stringとafter-stringは表示されるのですが、なぜかdisplayプロパティは空の範囲だと表示されません。なのでbefore-stringに画像を、after-stringに"\n"を指定することになります。(2021-09-07追記:よく考えたらbefore-stringの中で文字列の一部にだけdisplayプロパティをかけて、残りで改行すれば済むような気もします。未確認ですが、多分動くのではないかと)

他にもEmacsの色名とWeb(HTMLやCSS)の色名に対応するとか、色の表現形式とか、画像のスケーリングについてとか(上のスクリーンショット、ピッカーの大きさが違うのに気がつきましたか?)、色々書きたいことは山ほどありますが、この辺にしておきます。

(追記: Emacsのcss-modeやcustomize-face等でカラーピッカーを使う設定)

2021-08-29 ,

org-modeのアジェンダで土曜日と日本の祝日を色づけする

土曜日は青で、日曜と祝日は 'org-agenda-date-weekend のfaceで表示するには次のように設定します。

(setq org-agenda-day-face-function
      (lambda (date)
        (let ((face (cond
                     ;; 土曜日
                     ((= (calendar-day-of-week date) 6)
                      '(:inherit org-agenda-date :foreground "#0df"))
                     ;; 日曜日か日本の祝日
                     ((or (= (calendar-day-of-week date) 0)
                          (let ((calendar-holidays japanese-holidays))
                            (calendar-check-holidays date)))
                      'org-agenda-date-weekend)
                     ;; 普通の日
                     (t 'org-agenda-date))))
          ;; 今日は色を反転
          (if (org-agenda-today-p date) (list :inherit face :inverse-video t) face))))
土曜日が青、日曜日と祝日が赤で色づけされたorg-agenda
図1: 土曜日が青、日曜日と祝日が赤で色づけされたorg-agenda

素のcalendarパッケージでもそうなのですが土曜日が青色で表示されないんですよね。日本のカレンダーでは当たり前で、もはや青くないと違和感を感じるレベルなのですが、きっと海外では違うのでしょうね? 今ちょっと検索してみましたがいろんな文化があって面白そうです。

日付の色づけは org-agenda-day-face-function 変数で変更できます。

引数の date には (month day year) という形式のリストが渡されてきます。これはcalendarパッケージが日付を扱うときの形式に合わせているようです。

土曜日用に新しいfaceを定義するのも面倒なのでanonymousフェイスで返しています。フェイス属性:inherit は先頭にないとダメなようです。

祝日の判定は calendar-check-holidays 関数で行っています。ただ、私は calendar-holidays 変数に日本の祝日以外も入れてしまっているので、一時的に calendar-holidays 変数シンボルを japanese-holidays の示すリストに束縛してからチェックしています。

「今日」のfaceを変えたいのですが土、日祝、普通の三種類があるので今日か否かで変えるとなると組み合わせで六種類必要になってしまいます。なのでここでもanonymousフェイスを生成して :inherit が指す先を日によって変えることにしました。 :inherit にはシンボルだけでなくanonymousフェイスも指定できるようです。foregroundはそのままにbackgroundだけちょっと色を付けるといったくらいならこの方法が楽でしょう。全ての組み合わせを細かく調整したいのであればいっそ次のような感じの方が清々しいかもしれません。

(setq org-agenda-day-face-function
      (lambda (date)
        (pcase (+ (if (org-agenda-today-p date) 3 0)
                  (cond
                   ((= (calendar-day-of-week date) 6)
                    0)
                   ((or (= (calendar-day-of-week date) 0)
                        (let ((calendar-holidays japanese-holidays))
                          (calendar-check-holidays date)))
                    1)
                   (t
                    2)))
          (0 (list :foreground "#08a"))
          (1 (list :foreground "#a00"))
          (2 (list :foreground "#aaa"))
          (3 (list :foreground "#0cf"))
          (4 (list :foreground "#f00"))
          (5 (list :foreground "#fff")))))
2021-08-08 , , ,

Windowsのコマンドラインからスクリーンショットを撮る(PowerShell)

ちょっと欲しくなったので調べてみました。

How can I do a screen capture in Windows PowerShell? - Stack Overflow の Jacob Colvin さんの回答が一番簡潔だったのでそれを元にいくつか用意してみました。

まずはマルチモニターを含めた全領域。

# screenshot-all.ps1
# From https://stackoverflow.com/questions/2969321/how-can-i-do-a-screen-capture-in-windows-powershell
Add-Type -AssemblyName System.Windows.Forms,System.Drawing

$screens = [Windows.Forms.Screen]::AllScreens

$top    = ($screens.Bounds.Top    | Measure-Object -Minimum).Minimum
$left   = ($screens.Bounds.Left   | Measure-Object -Minimum).Minimum
$width  = ($screens.Bounds.Right  | Measure-Object -Maximum).Maximum
$height = ($screens.Bounds.Bottom | Measure-Object -Maximum).Maximum

$bounds   = [Drawing.Rectangle]::FromLTRB($left, $top, $width, $height)
$bmp      = New-Object System.Drawing.Bitmap ([int]$bounds.width), ([int]$bounds.height)
$graphics = [Drawing.Graphics]::FromImage($bmp)

$graphics.CopyFromScreen($bounds.Location, [Drawing.Point]::Empty, $bounds.size)

$bmp.Save($Args[0])

$graphics.Dispose()
$bmp.Dispose()

次にプライマリースクリーンのみ。

# screenshot-primary.ps1
# From https://stackoverflow.com/questions/2969321/how-can-i-do-a-screen-capture-in-windows-powershell
Add-Type -AssemblyName System.Windows.Forms,System.Drawing

$screen = [Windows.Forms.Screen]::PrimaryScreen

$top    = $screen.Bounds.Top
$left   = $screen.Bounds.Left
$right  = $screen.Bounds.Right
$bottom = $screen.Bounds.Bottom

$bounds   = [Drawing.Rectangle]::FromLTRB($left, $top, $right, $bottom)
$bmp      = New-Object System.Drawing.Bitmap ([int]$bounds.width), ([int]$bounds.height)
$graphics = [Drawing.Graphics]::FromImage($bmp)

$graphics.CopyFromScreen($bounds.Location, [Drawing.Point]::Empty, $bounds.size)

$bmp.Save($Args[0])

$graphics.Dispose()
$bmp.Dispose()

最後にアクティブウィンドウのみ。

# screenshot-activewin.ps1
# Get Foreground Window's Rect
Add-Type -Type @'
using System;
using System.Runtime.InteropServices;
namespace Win32Util {
    public struct RECT {
        public int Left, Top, Right, Bottom;
    }
    public class Utils {
        [DllImport("user32.dll")]
        public static extern IntPtr GetForegroundWindow();
        // [DllImport("user32.dll")]
        // public static extern int GetWindowRect(IntPtr hWnd, out RECT lpRect);
        [DllImport("dwmapi.dll")]
        public static extern int DwmGetWindowAttribute(IntPtr hWnd, uint dwAttribute, out RECT lpRect, int cbAttribute);

        public static uint DWMWA_EXTENDED_FRAME_BOUNDS = 0x09;

        public static RECT GetForegroundWindowRect(){
            IntPtr hwnd = GetForegroundWindow();
            // RECT rect = new RECT();
            // GetWindowRect(hwnd, out rect);
            RECT rect = new RECT();
            DwmGetWindowAttribute(hwnd, DWMWA_EXTENDED_FRAME_BOUNDS, out rect, Marshal.SizeOf(typeof(RECT)));

            return rect;
        }
    }
}
'@
$rect = [Win32Util.Utils]::GetForegroundWindowRect()

# https://stackoverflow.com/questions/2969321/how-can-i-do-a-screen-capture-in-windows-powershell
Add-Type -AssemblyName System.Windows.Forms,System.Drawing

$top    = $rect.Top
$left   = $rect.Left
$right  = $rect.Right
$bottom = $rect.Bottom

$bounds   = [Drawing.Rectangle]::FromLTRB($left, $top, $right, $bottom)
$bmp      = New-Object System.Drawing.Bitmap ([int]$bounds.width), ([int]$bounds.height)
$graphics = [Drawing.Graphics]::FromImage($bmp)

$graphics.CopyFromScreen($bounds.Location, [Drawing.Point]::Empty, $bounds.size)

$bmp.Save($Args[0])

$graphics.Dispose()
$bmp.Dispose()

実行は powershell screenshot-activewin.ps1 test.png のようにします。

それにしても久しぶりのWin32がまさかこんな形だとは。Windows10でGetWindowRectだと左右下に7ピクセルずつ余分に広い矩形を返してしまうだとか。影とかの効果の分でしょうか? なので今はDwmGetWindowAttributeを使うんだそうです。

あ、ちなみにEmacsのorg-downloadからを使うには次のように設定すればいいんです。使用頻度が少なそうなのでHydraが無いと覚えられる気がしませんね。まぁ、別に全部クリップボードからでもいいじゃんって思ったりもしますが。

(when (eq system-type 'windows-nt)
  (defun my-org-download-screenshot (script-name)
    (let ((org-download-screenshot-method
           (format
            "powershell %s %%s"
            (expand-file-name
             (format "<path-to-script-dir>/%s" script-name)))))
      (org-download-screenshot)))
  (defun my-org-download-screenshot-all ()
    (interactive)
    (my-org-download-screenshot "screenshot-all.ps1"))
  (defun my-org-download-screenshot-primary ()
    (interactive)
    (my-org-download-screenshot "screenshot-primary.ps1"))
  (defun my-org-download-screenshot-active-window ()
    (interactive)
    (my-org-download-screenshot "screenshot-activewin.ps1"))
  ;; Key bind help
  (when (featurep 'hydra)
    (define-key org-mode-map (kbd "C-c d")
      (defhydra my-org-download-hydra
        (:color red :exit t :hint nil)
        "
org-download copy from:
_c_: Clipboard
_y_: Full-path or URL on kill-ring
_a_: All monitors
_p_: Primary monitor
_f_: Foreground window
or drop from a local image file.
"
        ("c" org-download-clipboard)
        ("y" org-download-yank)
        ("a" my-org-download-screenshot-all)
        ("p" my-org-download-screenshot-primary)
        ("f" my-org-download-screenshot-active-window)))))
2021-08-08

Companyのお節介な補完を抑制する

(2022-08-15追記:CompanyからCorfuへ移行しました)

Emacsのバッファ内での入力補完を行うcompany-modeですが、使っていると困ることも色々ありました。それで少し設定を変えて使っていたのですが、まだ不満が残っていたのでここらでゆっくり検討してみました。

一番困るのが誤入力を助長してしまうという点です。テキスト入力中に勝手に候補を出すまでは良いのですが、RETを押すと勝手に出してきた候補を選択してしまい不要な文字列を付け足してしまいます。

例えば 100 と入力して RET を押したら 100 の後に改行が入ることを期待するわけですが、改行を打つ直前に勝手に 100 で始まる文字列を候補に出してきて、それが入力されてしまうわけです。例えばバッファ内に他に 10000 と書いてある部分があると、 100 ではなく 10000 が入力されてしまうわけです。入力時に気がつけば良いのですが、気がつかずに後から計算結果が合わなくて発覚したこともありました。

自動起動禁止!

慌てて行った設定が次。

;; case1
;; 自動起動を禁止する。(self-insert系を除外する)
(setq company-begin-commands
      '(c-scope-operator c-electric-colon c-electric-lt-gt c-electric-slash))

もう補完候補を自動で出すのは止めなさい、と。self-insert系コマンドを company-begin-commands から外せば少なくとも通常の文字を入力しているときに突然候補が出るのを抑制できます。最も安全です。

他の解決策としては、company-dabbrev-char-regexp から数字や日本語を除外して穏当なものだけ候補に出すという方法もよく見かけました1が、文字種によって判別するというのはなんだか違う気がしました。数字だからダメ、アルファベットだから良いという訳では無いのです。 abcdefghi とどこかに書いてあるバッファで abc RETと打っても同じ問題が起きます。

company-backends から company-dabbrev を外すという方法もよく見ましたが2、私は前からdabbrev自体は使っていましたから、companyを使う代わりにdabbrevが使えなくなるのは困ります。

手動と自動でバックエンドを切り替える(それとモードによって自動起動禁止)

そこで思いついたのが、手動で起動したときだけ company-dabbrev を使い、自動で起動したときは使わないという方法です。それなら M-/ でdabbrevを使い続けることが出来ます。数字であっても M-/ で候補を出してくれて構わないんです。

;; case2
;; dabbrevは手動で起動したときだけ有効にする。
;; アイドルタイムから始まった場合は、一時的に company-backends から
;; company-dabbrev を取り除く。
(defun my-company-idle-begin (oldfun &rest args)
  (let ((company-backends (remq 'company-dabbrev company-backends)))
    (apply oldfun args)))
(advice-add 'company-idle-begin :around 'my-company-idle-begin)

ついでにプログラミング系のモード以外では自動起動を禁止してしまいましょう。 org-modeやtext-modeで自動的に候補が出たからと言って何だというのでしょう!

;; いくつかのモードで自動的に候補を出すのを禁止する。
;; プログラミング系のモードでは比較的大丈夫な場合が多い。
;; 文法上入力できるものが限られており、補完が正しい可能性が高いから。
(defun my-company-inhibit-idle-begin ()
  (setq-local company-begin-commands nil))
(add-hook 'org-mode-hook #'my-company-inhibit-idle-begin)
(add-hook 'text-mode-hook #'my-company-inhibit-idle-begin)

思うにプログラミング言語系のモードは候補が自動的に出ても問題が少ないような気がします。プログラミング言語では場所ごとに書けるものが文法的に限定されています。例えば行末には大抵 ; を入れる言語では改行の前(RETを押したくなる直前)に候補が出ること自体がほとんどありません。出てくる候補の正答率も高いでしょう。

というわけでこのくらいでしばらく使っていたのですが、org-modeで自動的に候補が出てこないというのは少し寂しい気もします。 M-/ で候補を出せると言っても候補があること自体に気がつけませんからね。

自動起動や一部のモードは無選択状態で開始

別に候補を出してくれるのは構わないんです。問題なのは勝手にRETやTABを奪ってしまうことなのです。

候補を出しつつ、例えば選択は↓キー(C-n)を押してからでないと出来ないようにすれば良いのです。 何か良い方法は無いか……とcompany.elを眺めていたら次のような文字が目に飛び込んできました。

When `company-selection-default' is nil, add a special pseudo candidates
meant for no selection."

なんと company-selection-default を nil にするだけで無選択状態から開始できるのです。

;; case3
;; 基本的に候補は無選択状態から始める。
;; 誤って確定してしまうのを防ぐ。
(setq-default company-selection-default nil)
(setq-default company-selection nil)

この変数は defvar でなぜか defcustom ではありません。 しかし試してみたところきちんと動いているようです。ザッとコードを確認しても問題は無さそうに見えます。 (2021-08-09追記:細かい問題が見つかりました。修正方法は末尾に追記してあります)

これで常に無選択状態から始まりますが、手動で開始したときは選択状態から始まっていた方が良いでしょう。入力がまだ不完全で補って欲しくて手動で起動(M-/)しているわけですから、候補を選択した状態から始まっていても問題は無いでしょう。嫌ならC-gを押せば良いだけです。また、やはりプログラミング系のモードではこれまで選択状態から始まっていて違和感が少なかったのでとりあえず同じようにしましょう。

;; 手動起動したときには選択状態から始める。何か選びたいはずなので。
;; 自動起動したときでもモードによっては選択状態から始める。
;; 文法的に正しい候補が出せる可能性が高いとき。
(defun my-company-should-select-first-p ()
  (or
   company--manual-action ;;手動で起動したとき。
   (and (boundp 'lsp-mode) lsp-mode))) ;;LSPが使えるモードは補完の精度が高いはずなので。 (memq major-mode '(c-mode c++-mode))とかでも可。
(defun my-company-auto-begin (oldfun)
  (let ((company-selection-default
         (if (my-company-should-select-first-p) 0 nil)))
    (funcall oldfun)))
(advice-add 'company-auto-begin :around 'my-company-auto-begin)

無選択状態の時であればRETやTABがそのまま入力できるかと思いきやそうなっていません。無選択状態なので確定(誤入力)はしませんが、かといってそのままRETやTABがバッファに入ったりはしません。単純に無視されます。なぜならcompany-active-mapにRETやTABが登録されているので、候補が出ている間はそれが実行されてしまうからです。(ちなみに他の通常の文字(company-active-mapに登録されていない)は無選択状態の時(正確にはcompany-require-matchではないとき)にはそのままバッファに入力できます。手動で起動したり一度でも選択操作すると候補とマッチする文字しか入力できなくなります)

なので無選択状態の時はRETやTABをバッファ本来のキーバインドで実行するようにしました(補完を中断してキーを読み取り前に戻す)。

;; 無選択状態の時にTABやRETが入力されたら
;; そのバッファのモード本来のTABやRETを実行する。
(defun my-company-complete-respecting-user-input (&rest args)
  "ユーザー入力を尊重した補完を行う。"
  (interactive)
  (if (null company-selection)
      ;; モード本来の割り当てを実行する。
      (progn
        (company-abort)
        (company--unread-this-command-keys))
    ;; companyの(リマップ元の)コマンドを実行する。
    (apply this-original-command args)))
(define-key company-active-map [remap company-complete-selection]
  ;;RETに割り当てられているコマンドをリマップ
  'my-company-complete-respecting-user-input)
(define-key company-active-map [remap company-complete-common]
  ;;TABに割り当てられているコマンドをリマップ
  'my-company-complete-respecting-user-input)

というわけで、今はこのくらいで使っています。

100 RET と押しても10000が入ったりはしませんし、 org-modeのテーブルセル内で 100 TAB 等と押しても大丈夫です。100とRETの間で一瞬候補は出ますが無視してRETやTABがそのまま入ります。いつも「10000ポイント」とか「10000円」とか候補に出てきてちょっと気が散りますがw どこから候補を持ってきてるんだ。

dabbrevで日本語が入りすぎるのは気になりますが、そのあたりはきっと company-dabbrev-char-regexp を調整すれば良いのでしょう。

またしばらくこれで使ってみようと思います。

P.S. helmやivyでも感じたのですが、RETが候補選択に奪われがちなのは近年の補完インタフェースを見ていて気になるところです。

2021-08-09追記: 候補が一つになったときに候補が表示されなくなる問題の修正

company-selection-default を nil にした時の問題ですが、候補が一つに絞り込まれたときに候補が表示されなくなる現象を見つけました。表示されないだけで補完自体は続いているらしく C-n を押すと候補がポイントの位置に表示されます。

company-selection-default を nil にしたときには「無選択」という仮想的な候補が追加されるわけですが、それを考慮していない場所があるようです。

companyでは候補が一つだけの時のfrontendと候補が二つ以上の時のfrontendが分かれています。一つだけの時はポイントの位置に表示して、二つ以上の時はツールチップ的なオーバーレイで表示します。この「候補が一つだけ」の判定が「無選択」という候補を考慮していませんでした。

次のように修正すれば直ります。

  (defun company--show-inline-p ()
    (and (not (cdr company-candidates))
+        (or company-selection-default (null company-candidates)) ;;追加
         company-common
         (not (eq t (compare-strings company-prefix nil nil
                                     (car company-candidates) nil nil
                                     t)))
         (or (eq (company-call-backend 'ignore-case) 'keep-prefix)
             (string-prefix-p company-prefix company-common))))

adviceで書くなら次のようにします。

(defun my-company--show-inline-p (old-fun)
  (and
   ;; Include "no selection" as candidates
   (or company-selection-default (null company-candidates))
   (funcall old-fun)))
(advice-add 'company--show-inline-p :around 'my-company--show-inline-p)

2021-08-09追記: 選択操作をした後に文字で絞り込むと無選択に戻される問題を修正

同じく company-selection-default を nil にしたときの問題です。

候補の選択操作(C-n等)をした後に現在選択しているのとは違う後続の文字を入力して他の候補を選択しようとすると無選択状態に戻されてしまいます。

例えばemacs-lispにおいて、 def で default と defun が候補に出たとして、 C-n で default を選択してから次に u を押すと無選択状態になってしまいます。ここは defun が選択されていて欲しいところです。このままTABやRETを押すと無選択状態ですから当然defunは挿入されません。

現在選択している候補が消えたのだからデフォルトの選択である「無選択」に戻しただけのつもりなのかもしれません。

しかし選択操作をした段階でユーザーの意識はポイントのカーソルからツールチップの選択状態に移っていますから、そのタイミングで入力した文字は候補の選択を変える動作に使って欲しいのです。companyでもcompany-explicit-action-pという関数があって、ユーザーが明示的に行動を起こしたかによって挙動を変更する仕組みがあります。その思想と整合性がとれていないとも言えます。

調べてみたところ、候補の更新処理である company-update-candidates に問題を見つけました。

(defun company-update-candidates (candidates)
  (setq company-candidates-length (length candidates))
  (if company-selection-changed
      ;; Try to restore the selection
      (let ((selected (and company-selection
                           (nth company-selection company-candidates))))
        (setq company-candidates candidates)
        (when selected
          (setq company-selection 0)
          (catch 'found
            (while candidates
              (let ((candidate (pop candidates)))
                (when (and (string= candidate selected)
                           (equal (company-call-backend 'annotation candidate)
                                  (company-call-backend 'annotation selected)))
                  (throw 'found t)))
              (cl-incf company-selection))
            ;; ★★★ここを直したい!★★★
            (setq company-selection company-selection-default
                  company-selection-changed nil))))
    (setq company-selection company-selection-default
          company-candidates candidates))
  ;; Calculate common.
  (let ((completion-ignore-case (company-call-backend 'ignore-case)))
    ;; We want to support non-prefix completion, so filtering is the
    ;; responsibility of each respective backend, not ours.
    ;; On the other hand, we don't want to replace non-prefix input in
    ;; `company-complete-common', unless there's only one candidate.
    (setq company-common
          (if (cdr company-candidates)
              (let ((common (try-completion "" company-candidates)))
                (when (string-prefix-p company-prefix common
                                       completion-ignore-case)
                  common))
            (car company-candidates)))))

直す場所が深いのですが、adviceで次のようにすれば直ります。

(defun my-company-update-candidates (old-fun candidates)
  (let ((old-selection-changed company-selection-changed)
        (old-selection company-selection)
        ;; call the original function
        (result (funcall old-fun candidates)))
    ;; keep company-selection-changed
    (setq company-selection-changed old-selection-changed)
    ;; keep company-selection that is not nil
    (when (and old-selection (null company-selection) candidates)
      (setq company-selection 0))
    result))
(advice-add 'company-update-candidates :around 'my-company-update-candidates)

呼び出しの前後で「ユーザーが一度でも選択を変更したかフラグ(company-selection-changed)」と「現在の選択肢番号(company-selection)」を適切に維持します。company-selection-changedをnilにしてしまうとユーザーが明示的に選択を変更したという意思がなかったことになってしまうのが違和感の原因だと思います。

2021-08-09追記: 選択状態のfaceを目立つものにする

company-selection-default を nil にする場合は、現在選択している候補がはっきり分かるようにした方が良いと思います。特に上では現在選択しているかどうかでRETやTABの挙動を変えてしまっていますからね。

色のセンスはありませんが、例えば:

(set-face-background 'company-tooltip-selection "#a62")

(実際にはcustomize-faceで変更しています)

1~2日使ってみての感想ですが、自動で候補が出たときに未選択状態から始まるのは慣れるまで時間が必要ですね。下を押してRETを押す習慣を付けなければなりません。あとモードによって選択状態から始めているのは統一感が無くてあまり良くなかったかもしれませんね。

2021-08-05 ,

org-modeをData URI Schemeに対応させる

とりあえず対応させてみました。

↓はData URIなんですけど表示されてますか?

赤い丸(SVG)
図1: 赤い丸(SVG)
富士山!(JPEG)
図2: 富士山!(JPEG)

↑の書き方(org-modeのソース)は次の通りです。

#+CAPTION: 赤い丸(SVG)
[​[data:image/svg+xml;base64,PHN2ZyB4bWxucz0iaHR0cDovL3d3dy53My5vcmcvMjAwMC9zdmciIGhlaWdodD0iMTAwIiB3aWR0aD0iMTAwIj4NCiAgPGNpcmNsZSBjeD0iNTAiIGN5PSI1MCIgcj0iNDAiIHN0cm9rZT0iYmxhY2siIHN0cm9rZS13aWR0aD0iMyIgZmlsbD0icmVkIiAvPg0KPC9zdmc+DQo=]]

#+CAPTION: 富士山!(JPEG)
[​[data:image/jpeg;base64,/9j/4QAYRXhpZgAASUkqAAgAAAAAAAAAAAAAAP/sABFEdWNreQABAAQAAAAeAAD/7gAOQWRvYmUAZMAAAAAB/9sAhAAQCwsLDAsQDAwQFw8NDxcbFBAQFBsfFxcXFxcfHhcaGhoaFx4eIyUnJSMeLy8zMy8vQEBAQEBAQEBAQEBAQEBAAREPDxETERUSEhUUERQRFBoUFhYUGiYaGhwaGiYwIx4eHh4jMCsuJycnLis1NTAwNTVAQD9AQEBAQEBAQEBAQED/wAARCAAyAGQDASIAAhEBAxEB/8QAgAAAAgMBAAAAAAAAAAAAAAAAAAMBAgQFAQADAQEBAAAAAAAAAAAAAAAAAQIDBAUQAAEDAgQDBQYFBQAAAAAAAAEAAgMRBCExQRJRYQVxgcEiE/CRoTJCI9FighQGsVJy0hURAAICAQUBAQAAAAAAAAAAAAABEQIhMUFxEgNhIv/aAAwDAQACEQMRAD8A3UUUTdqjavTk4RdEbUyiCESAvaooupadIkkHq3NYos9uTz/qtEsdrb27nmNvosxNBUuP0tbriVm/aqcL9cGi821LwcOmuiKLbYRsuZWzOFHuJLmfTUHIjgFlvz+1vZWBpNuTVnFoOnv0VL0Tt10ZLpCkXRFFdhZI3cw7hy8VO1XJIuiKJm1RtSkYuiEzahEgP2oppqcgujH0xxP3JABwYKn4pzH9Ptdwic3e2geR55MchgsLeyWn6LXm3rgxQdMuZaFwETDjV3zU/wAfxXStrG3tjuY3fIM5X+A0WC6/kNnECIj6zxlo2vMrmTfyK4kG07RGHCtBSrRiQeTslm36X+I0SrX6zvz3QeKM8zjXZ/aKYbnDXksPUqMsXNc5xeW9ri0GrqcOSLa7bJbC8lpFGRvcTjQDCpp8Fnml/emR0cgMM3kYW4kNaKf1xRWsPgbeOSttIYLtkjDSCaIFjnUFZCK4/mcnXVsJ9gFXCRo81RUO4HvzWQPt/wB62IncyGNkcUTfMXStzw4N1KnqN3Pbwhsbmm4jf6jY8Hbg75wOzNVuo1J2yZ32jo/uxbo5AS1zW4iozpXPsVhO5jWm4ZRrhhKzFv6hm1DOrCS29a5YXMeNskrRSrqV2kYeamoTY7m1lkMDHje5m9ocKB7TjjzotFd7ol1WxZu17dzCHNOoxCNqqLSMOJjJilpVpYaB1eNcCUmPqMBO18jX/mb5T3tPgq7Jk9WP2oR69tt3eo2iESEHMuuuTTuqS5wGFK+mwgalrfMa8ysU3ULqYU3emzSOIbG/DE96zjHPAozyxUqqWxTbJLzqUBzndgUGmqN3AYJiN111B/8Az4bGJ3kA3SvIoXGtdvYCskE8kIcYnFsjsNwz20xAPNUNCa1FSpa0AgjHgUsIeWaIb2W39F8IAfG1zXOI3Fwca0x0WaaaWaUzSuL5XUJec/grUaRiFDgKcxqhQGSwvJjEYH/ciOJa7Q8WnQpkVw5txFdOJl9LbRoIaQW5B3LsWanvUhrgQ4dyMCya7vqdzckZQxjFsTK0B1OKyGutVYgUrka5ckbTSoIPfihQMrsbtrTmhFDWuqEAW+p2eff3oOXt8EIQIjUeKDl3IQgZQ5J306+KEJMELf8AKc/1I4exQhADOHjn3KW/j2IQkUU+kZ69in2xQhMRX3IQhAj/2Q==]]
Emacs上での見た目
図3: Emacs上での見た目

Data URIを使うとorg-mode文書のサイズが肥大化するのと引き換えに外部ファイルを管理する手間が省けたりします(こうやってエクスポートしてWeb上に上げた場合はHTTPリクエストが減るとか、一方で画像キャッシュが効かないとか色々あると思います)。

Web上を検索したらorg-modeとData URIに関する話題はチラホラ見かけたのですがそのものズバリというものは見つからなかったんですよね。同じ事を考える人は沢山いそうなのですが……。

ソースは次の場所に置きました。

misohena/org-inline-image-fix: A collection of fixes related to the image display feature in org-mode

が、かなりヤバイクソコードなのでご了承ください。

インライン画像表示まわりは例によって org-display-inline-images 関数にadviceをかけて実現しているのですが、この関数は元々結構長くて改造が容易ではありません。以前は丸丸上書きするような修正の仕方もしたのですが、org-mode側に修正が入ると直さなければならなくなるので面倒です(ちょっと前にリモート画像対応が少し入りました)。なので今回は極力元の関数を活かす方向で修正したのですがそれが悪夢の始まりでした。

長ったらしい関数の中の挙動を修正するにはそこから呼び出す関数を書き替えるしか手が無く、 cl-letf で沢山の関数を上書きして無理矢理実現しています。まるで針の穴を通すようなプログラミングにゾクゾクしてしまいました。まるでパズルゲームです。何度もこれはもうダメか、書き直すしか無いかと諦めかけました。 org-element-property が実は defsubst でバイトコンパイルがかかると呼び出されないということに気がついたときにはどうしようかと思いました。追い詰められて plist-get とか format とか基本的な関数を書き替えているのでどこでおかしくなるか分かりません。 org-display-inline-images を書き替える他のプログラムを使ったときの動作は保証いたしかねます。正直全部上書きした方がまだマシだったかもしれませんね。どうせorg-mode側で修正がかかったら全部おじゃんでしょう。

:after adviceをかけて、本家の処理が終わった後にもう一度バッファを走査するのが一番安全かもしれません。大きな文書では効率が落ちるかもしれないので今回は回避しましたが(画像を扱っている時点で今更?)。

YouTube動画へのリンクを画像に置き換えるコード(TobiasZawada/org-yt: Youtube links in org-mode)を見つけたのですが、それは:afterアドバイスで再走査していました。皆さん苦労しているようです。

私も今 org-display-inline-images には三つもアドバイスがかかっているので苦労しています(上のリポジトリにはこれまでのものをまとめてあります: URLリンク対応, 画像リンク即時表示, サイズ制限)。

元々のコードがもう少し改造しやすくなっていると良いのですが……。

あ、あとエクスポートはHTMLだけ対応ですのであしからず。こちらも面倒でした。

2021-08-04

ivy-switch-bufferでブックマーク内のファイルをブックマーク名で検索できるようにする

Ivyでは ivy-use-virtual-bufferst にすると ivy-switch-buffer (C-x b) で(recentfや)ブックマーク内のファイルが選べるようになりますが、候補として登録されるのはあくまでファイル名(ivy-virtual-abbreviate を設定するとディレクトリパスも含めることは出来る)だけでブックマーク名は登録されません。なのでいくら分かりやすいブックマーク名を付けていても ivy-switch-buffer でそれを元にファイルを検索することは出来ません。なのでそれを出来るようにしてみました。

(require 'ivy)

(defun my-ivy-bookmark-name-filename-list ()
  "Return bookmark (name . filename) list as virtual buffer format."
  (delq nil
        (mapcar (lambda (record)
                  (when record
                    (let ((name (bookmark-name-from-full-record record))
                          (filename (bookmark-get-filename record)))
                      (when (and name filename)
                        (cons
                         (propertize
                          (format "*bookmark:%s" name)
                          'face 'ivy-virtual)
                         filename)))))
                bookmark-alist)))

(defun my-ivy-bookmark-append-advice (orig-fun)
  (let ((result-orig (funcall orig-fun))
        (my-virtual-list (my-ivy-bookmark-name-filename-list)))
    (setq ivy--virtual-buffers (append ivy--virtual-buffers my-virtual-list))
    (append result-orig (mapcar #'car my-virtual-list))))

(advice-add 'ivy--virtual-buffers :around 'my-ivy-bookmark-append-advice)
;;(advice-remove 'ivy--virtual-buffers 'my-ivy-bookmark-append-advice)

ivy-switch-buffer が扱うのはあくまでバッファ名です。現実にあるバッファの名前を選んでそこへ切り替えます。なのでrecentfやブックマークのファイル名はバッファ名ではないので「仮想バッファ」の名前として扱うことで無理矢理処理しています。仮想バッファ名リストを生成する関数が ivy--virtual-buffers です。その関数は、 ivy--virtual-buffers という変数(関数と同じ名前でややこしいですが)に仮想バッファ名とファイル名の対応表を構築した上で仮想バッファ名のリストを返します。

なので ivy--virtual-buffers 関数にadviceをかけて仮想バッファを付け足すのが上のコードです。

ivy-switch-bufferで選べる候補が気に入らないという方はこのようなやり方で候補を追加してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、 *scratch* が無くても常に *scratch* を選べるようにするには my-ivy-bookmark-append-advice が返すリストに一つ付け加えるだけです。

(defun my-ivy-bookmark-append-advice (orig-fun)
  (let ((result-orig (funcall orig-fun))
        (my-virtual-list (my-ivy-bookmark-name-filename-list)))
    (setq ivy--virtual-buffers (append ivy--virtual-buffers my-virtual-list))
    (append result-orig (mapcar #'car my-virtual-list) '("*scratch*"))))

こうしておくと、もし知らないうちに *scratch* を閉じてしまっていても *scratch* というバッファ名を選べて新しくバッファを作成することが出来ます。

2021-08-04

WindowsでflycheckがNULというファイルを作ってしまう問題

以前flycheckを試したときにNULというファイルが出来て消すのが大変だったのでflymakeでいいやーと思ったことがあったのですが、最近また調べたところ対処法を書いているサイトを見つけました。

Emacs Flycheck

下記の記述だと、Windowsで、gcc によっては、同じディレクトリに "NUL" というファイルが生成されることがある。

:command ("gcc" "-c" "-I../../inc" "-I." "-O1" "-Wall" source "-o" null-device)

その場合、下記のように temporary-file-name を指定すると回避できる

:command ("gcc" "-c" "-I../../inc" "-I." "-O1" "-Wall" source "-o" temporary-file-name)

checker定義内の 'null-device は同名の変数null-deviceの値で置き換えられて、Windowsだと "NUL" になります。これをCygwinやMSYS2/MinGWのgccが受け取るとコンパイルが成功したときにそのままNULというファイルを出力してしまうのが原因のようです。

同じようにcheckerを再定義すれば良いのかなと思ったのですが、flycheck.elを見てみると沢山のcheckerが定義されていてその中でnull-deviceも沢山使われていました。

そもそもcheckerを再定義するのも面倒ですし、かといってnull-deviceの値を書き替えるのも(他にどこで使われているのか分からないので)怖いですし、手っ取り早くadviceでnull-deviceをtemporary-file-nameに置き換えてしまうことにしました。

;;; Windowsでnull-deviceを使わないようにする。
;; null-deviceはNULなので、CygwinやMinGWだとNULというファイルを作ってしまう。
;; flycheck-command-wrapper-function でNULを置き換えても良いのだが
;; flycheck-substitute-argument でやった方が確実だし簡単。
(when (locate-library "flycheck")
  (with-eval-after-load 'flycheck
    (defun my-flycheck-substitute-argument (old-func arg checker &optional rest)
      (when (eq arg 'null-device)
        (setq arg 'temporary-file-name))

      (apply old-func arg checker rest))
    (advice-add 'flycheck-substitute-argument :around 'my-flycheck-substitute-argument)))

最近はLSPの方でエラー箇所を検出してしまうので必要ないのかもしれませんけどまたNULファイルが出来ると面倒なので念のため。

2021-08-03

2021年夏の新番組

最近は1話が月末まで遅れることが多くなってきましたね。

初評 テレビ開始 テレビCh 作品名 ネット配信
06/29(火) 25:34 日テレ ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編  
07/01(木) 22:00 MX ピーチボーイリバーサイド dアニメ
07/01(木) 22:30 MX SCARLET NEXUS dアニメ
07/01(木) 23:30 MX ひぐらしのなく頃に 卒  
07/02(金) 24:00 MX ヴァニタスの手記 第1クール Amazon
07/02(金) 24:30 MX 100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン  
07/02(金) 25:05 MX ぶらどらぶ(VLADLOVE) ※ネットでは既に配信済 dアニメ
07/02(金) 25:25 TBS系 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X (第2期) dアニメ
07/02(金) 25:50 TBS系 俺、つしま Youtube
× 07/02(金) 26:25 TBS カノジョも彼女 ABEMA
× 07/03(土) 22:00 MX ぼくたちのリメイク ABEMA
07/03(土) 23:30 MX 魔法科高校の優等生 dアニメ
× 07/03(土) 25:00 MX かげきしょうじょ!! dアニメ
07/03(土) 25:30 MX 現実主義勇者の王国再建記 FOD
07/03(土) 25:30 テレ朝 RE-MAIN dアニメ
07/04(日) 21:30 MX 天官賜福 -吹替版- dアニメ
07/04(日) 22:00 MX 死神坊ちゃんと黒メイド dアニメ
07/04(日) 22:30 MX アイドリッシュセブン Third BEAT! (第3期) 第1クール  
07/04(日) 23:00 MX ゲッターロボ アーク dアニメ
× 07/04(日) 24:00 MX 探偵はもう、死んでいる。 dアニメ
07/04(日) 25:00 MX 指先から本気の熱情2-恋人は消防士- dアニメ
× 07/05(月) 25:30 テレ東 うらみちお兄さん dアニメ
07/05(月) 26:00 テレ東 精霊幻想記 ABEMA
07/06(火) 23:00 MX 転生したらスライムだった件 第2期 第2部 dアニメ
07/07(水) 07:05 テレ東 KICK&SLIDE  
07/07(水) 22:00 MX チート薬師のスローライフ~異世界に作ろうドラッグストア~ dアニメ
07/07(水) 22:30 MX TSUKIPRO THE ANIMATION 2  
07/07(水) 23:00 MX 月が導く異世界道中 dアニメ
07/07(水) 24:00 MX 小林さんちのメイドラゴンS (第2期) dアニメ
07/08(木) 24:00 MX 白い砂のアクアトープ ABEMA
07/08(木) ~ Netflix BIOHAZARD(バイオハザード):Infinite Darkness Netflix
07/09(金) 22:30 MX 迷宮ブラックカンパニー dアニメ
× 07/10(土) 22:30 MX D_CIDE TRAUMEREI dアニメ
07/11(日) 19:00 Eテレ ラブライブ!スーパースター!!  
07/11(日) テレ東 闇芝居 第9期 Paravi
× 07/12(月) 24:00 MX 出会って5秒でバトル dアニメ
× 07/14(水) 25:05 MX 女神寮の寮母くん。 dアニメ
07/14(水) 24:55 フジテレ NIGHT HEAD 2041 FOD
× 07/15(木) 24:30 MX Sonny Boy -サニーボーイ- dアニメ
07/18(日) 24:30 BS日テレ 戦乙女の食卓Ⅱ YouTube
07/20(火) ~ WEB配信 アサルトリリィふるーつ  
07/22(木) 24:55 フジテレ 平穏世代の韋駄天達 Amazon
07/31(土) 24:00 MX マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd Season  
07/31(土) 26:00 テレ朝日 ジャヒー様はくじけない! dアニメ

今期は不作……凶作ですかね?

2021-08-03 ,

org-modeのコードブロックでHTMLを「実行」する

org-modeのコードブロック(org-babel)でHTMLを書いているとフラストレーションが溜まります。なぜならば書いたHTMLの結果を確認しづらいからです。

org-modeにはob-html.elが定義されていません。なので org-babel-execute:html も定義されておらず通常のコードブロックを評価する方法(C-c C-c)でHTMLを実行出来ません。

HTMLの実行とは何か

ちょとまって。実行? HTMLの実行とは何でしょう。HTMLはマークアップ言語ですからプログラミング言語のように実行と言われても何をするのかよく分かりません。ob-html.elが無いのはおそらくそのためではないでしょうか。

私が思う実行とは何でしょうか。

ブラウザで開く
HTMLの実行と聞いて真っ先に思い浮かべるのはブラウザで開くことでしょう。プログラミング言語では無いと言いますが現実的にはもはやアプリケーションプラットフォームでもあります。
HTMLをそのまま文書に埋め込む
例えばコードブロックを使ってHTMLの書き方を説明したとしましょう。表の書き方、段落の書き方、強調の書き方等々。エクスポートしたときにHTMLの書き方(コード)と表示結果を並べて表示したいことがあります。そのとき、HTMLでエクスポートするならコードの後にそのHTMLそのものを埋め込めれば手っ取り早く結果をブラウザで表示できるはずです。
単にHTMLをそのままファイルとして書き出す
単にそのまま別ファイルに書き出してくれれば十分なこともあるでしょう。結果欄にはそのファイルへのリンクを表示すれば読んでいる人はそれをクリックして結果を確認することが出来ます。ちなみに単に書き出すだけなら :tangle というヘッダー引数があるのですが、これは文芸的プログラミングのためのものでバッファ内のものを一度に全部書き出すコマンドしか見当たらず何だか用途が違う気がします。通常の :results file :file filename で書き出したいところです。
HTMLの文字列そのものを結果とする
コードブロックに書いてあるテキストをそのまま結果とするという考え方も出来ます。実はob-org.elはそうなっています。別の所から参照して活用するのに使えそうです。ちなみに上の二つの「実行」はこれが実現出来るだけで自動的に実現出来ます。「そのまま」というのがミソですね。前者はそのままhtmlエクスポートブロックにするだけ。後者はそのままファイルに書き出すだけです。結果をそのまま返すだけでエクスポートブロックで囲んだりファイルに書き出す処理はOrg Babel側でやってくれます。
スクリーンショットを撮る
結果を画像で表示できれば便利です。これを実現する方法はこれまでにいくつか見たことがあります。ネットを探すとPhantomJSやヘッドレスChromeを使用してスクリーンショットを取れるようにした事例が見つかります(krisajenkins/ob-browser, ob-html-chrome/ob-html-chrome.el)。
ブラウザで開きセッションを維持する
単にブラウザで開くだけで無く、開いたらそのままセッションを維持して、続くJavaScriptのコードブロックをそのセッションで実行できたら面白いのではないでしょうか。JavaScriptからHTML(というかDOM)を操作する方法を解説したいときに便利かもしれません。

とりあえず私がパッと思いつくのはこのくらいでしょうか。HTMLは単なる文書ですから、他にもいくらでもやりたい動作はあることでしょう。

ob-html.el を作る

まず ob-html.el が無いことが問題です。せめて ob-org.el レベルの物は用意しておいて欲しい所ですが無いのだから仕方ありません。

というわけで作りました。

misohena/ob-html

これを読み込ませるとHTMLのコードブロックが評価できるようになり、その結果を #+RESULTS: の場所に埋め込むことが出来るようになります。具体的には次のことが出来るようになります。

HTMLとしてそのまま埋め込む

次のコードブロックは評価するとHTMLのエクスポートブロック(#+begin_export html#+end_export)になります。

#+name: ob-html-ex1-1
#+begin_src html :exports both :results html :cache yes
<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>
#+end_src

上のHTMLは次のように表示されます。

#+RESULTS[9621841e579ea4feee64be832813d72c5428d389]: ob-html-ex1-1
#+begin_export html
<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>
#+end_export

上のOrg文書はHTMLでエクスポートすると次のように表示されます。

<p><strong>つよつよ</strong> <ins>追加</ins> <del>削除</del></p>

上のHTMLは次のように表示されます。

つよつよ 追加 削除

外部にHTMLファイルを生成し、そのファイルへのリンクを埋め込む

次のコードブロックは評価すると外部にhtmlファイル(example.html)を出力しそのファイルへのリンクが結果になります。

#+name: ob-html-ex2
#+begin_src html :results replace file :file example.html
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello</title>
  </head>
  <body>Hello</body>
</html>
#+end_src

どう表示されるかは下をクリックしてね。

#+RESULTS: ob-html-ex2
[​[file:example.html]]

:results には file を指定します。

外部にスクリーンショット画像ファイルを生成し、そのファイルへのリンクを埋め込む

次のコードブロックは評価すると外部にスクリーンショットを含むpngファイル(example.png)が生成されそのファイルへのリンクが結果になります。

#+begin_src html :results replace file graphics :file example.png :width 320 :height 64
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello2</title>
  </head>
  <body>Hello2</body>
</html>
#+end_src

#+RESULTS:
[​[file:example.png]]

:results には graphics を指定します。

スクリーンショットはとりあえずChromeのコマンドラインオプション(いわゆるヘッドレスChrome)で取得するようにしてあります。事前にchromeへのパスを正しく設定する必要があります。

C-c C-oでブラウザで開く

以上は何らかの結果を生成して #+RESULTS: のところに埋め込む方法でした。

しかし肝心の「ブラウザで開く」がまだ実現出来ていません。

org-modeからブラウザで開くというのはorg-babelの「評価」とは何か根本的に違うような気がします。私は別にファイルを書き出したいわけでは無いんです。ファイルを書き出されると管理が面倒なので出来れば書き出して欲しくありません。評価して結果を得たいわけでも無いんです。単にブラウザで見たいだけなんです。

「評価」というよりは「開く」と言った方が良さそうです。

開くと言えば C-c C-o 。org-modeだと org-open-at-point に割り当てられていてポイントにある要素を良い感じに開いてくれます。HTMLコードブロックの上で C-c C-o したら即ブラウザで表示してくれたら便利ではないでしょうか。実は結果がファイルになる場合はすでにそのファイルを開いてくれるようになっています。上の例で言えば、二番目(example.html)と三番目(example.png)は C-c C-o でファイルが開きます。しかし次のように結果が出力されないコードブロックで C-c C-o しても何も起きません。

#+begin_src html
<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>Hello</title>
  </head>
  <body>Hello</body>
</html>
#+end_src

このようなコードブロックはファイルが関連付けられていないのでブラウザで表示するのは難しいのですが、一時的にテンポラリファイルに書き出してブラウザで開き、その後テンポラリファイルを削除するというのはどうでしょう。

ob-html.elにそのような機能を追加してみました。 (org-babel-html-enable-open-src-block-result-temporary) 関数を呼び出すと org-babel-open-src-block-result 関数にadviceをかけてテンポラリファイルで表示できるようにします。

(require 'ob-html)
(org-babel-html-enable-open-src-block-result-temporary)

:results silentの時はブラウザで開く

ob-html.elでは:resultsのデフォルト値はsilentにしました。これは ob-org.el がそうだったのでそれを踏襲しました。org-mode全体でのデフォルトはreplaceなのになぜsilentなのでしょうか。org言語は結果を求めるものでは無いという考えがあるのかもしれません。それならばhtmlも同じです。

デフォルトでsilentなので何もヘッダー引数を指定しなかった場合は評価しても何も起こりません。 #+RESULTS: も挿入されません。エクスポートブロックや外部ファイル、画像を生成したければreplaceを指定する必要があります。

silentのときはほとんど何もしないわけですから、このときブラウザで開いてみるのはどうでしょう。

困るときもありそうなので設定で開くかどうか決められるようにしておきました。

セッション対応

残るはセッション対応ですが、これは少し保留させてください。

いくつかやる方法は考えつくのですが、これはhtmlコードブロックだけの範囲を超えています。JavaScriptコードブロックの改善も一緒にやらなければ意味がありません。

2021-08-03-ob-html-screenshot.png