org-modern
先日org-modernを試してみました。org-modeの各部の見た目を綺麗に(モダンに)してくれます。
そんな中で私が最も気に入ったのは、表(テーブル)の線を綺麗にしてくれるという点です。
もはやorg-modeと言われなければ分からないと思います。
いくつか問題もあって、 org-table-toggle-coordinate-overlays
による座標表示は機能しなくなります。まぁ、仕方ないですね。(2022-08-27追記: org-table-toggle-column-width
あたりも問題がありますね。これはちょっと気になるかなぁ)
その辺りは許容するとして、私が使っていて最も気になったのはorg-indentと併用した際の問題です。org-indentは階層に応じて左にインデントをつけてくれるモードです。org-modernはこのorg-indentと相性が悪いです。例えばブロック(#+begin_???から#+end_???までの間)の左に装飾を入れる機能があるのですが、これはorg-indentが有効になっているときは機能しません。
org-indentの併用で表に発生する問題
表の線についてはorg-indent使用時でも一見正しく機能するように見えましたが、よく見ると二つほど問題がありました。
- 横線の下に大きく空白が空く
- ウィンドウの先頭にある行がインデントされない
原因
横線の下に大きく空白が空く原因は、org-indentが挿入する空白文字が高さを持ってしまっているところにあります。高さを持っている以上、その行がそれ以上縮まることはありません。
ウィンドウの先頭がインデントされない原因は、先日書いたEmacsのバグにあります。
修正
org-indentで挿入する空白の高さを1ピクセルにする
org-indentが挿入する文字列が高さを持ってしまっていることが原因なので、それを無くせば良いのです。文字列では無くdisplayプロパティのspace指定を使うことで高さ1ピクセルの空白を作ります。
;; org-indentを使っていると表の水平線の高さが狭まらない問題を修正する。 ;; インデントの空白文字列の高さよりも小さくならないのが原因。 ;; インデントの空白文字列をdisplayプロパティで高さ1pxのspaceに置き換える。 ;; @todo wrap-indentも修正すべき? (defun my-org-indent--compute-prefixes-after () ;; org-indent--text-line-prefixesはレベル毎のline-prefix。 ;; org-indent--compute-prefixesがそれを計算した後ここが呼ばれる。 (let ((prefixes org-indent--text-line-prefixes)) ;; 各レベルのprefixを修正する。 (dotimes (i (length prefixes)) (let* ((space-str (aref prefixes i)) (space-length (length space-str))) (when (> space-length 0) (aset prefixes i ;; テキストプロパティ ;; display (space :width i :height (1)) ;; を追加する。 ;; つまり、line-prefixとして空白文字ではなく高さ1pxのspace ;; が表示されるようになる。 ;; これによって、(prefix以外の)行の高さが正しく反映される ;; ようになる。これまでは行が小さくなってもprefixの空白文 ;; 字の高さより小さくならなかった。 (org-add-props space-str nil 'display (cons 'space (list :width space-length ;; (list (* space-length ;; (frame-char-width))) :height '(1)))))))))) (advice-add #'org-indent--compute-prefixes :after #'my-org-indent--compute-prefixes-after)
元々このorg-indentの空白文字を入れるという挙動は、org-modernに限らず他でも同様の問題を引き起こす可能性があるはずです。例えばfaceをカスタマイズして特定の行の文字サイズを小さくしたとき、文字は小さくなったのに行が一緒に小さくならなず無駄に空白が空くという問題が生じる可能性があります。
表の縦線部分をdisplay (space …)ではなくdisplay " "にする
先日書いた通りこの問題はdisplayプロパティにspaceではなく文字列を指定すれば発生しません。文字列にすると幅と高さを自由に指定できなくなってしまいますが、face属性に:height 0.1を設定することで極小文字にして回避します。
;; org-modern--tableを差し替える。 (defun org-modern--table () "Prettify vertical table lines." (save-excursion (let* ((beg (match-beginning 0)) (end (match-end 0)) (tbeg (match-beginning 1)) (tend (match-end 1)) ;; Unique objects (sp1 (list 'space :width 1)) (sp2 (list 'space :width 1)) (color (face-attribute 'org-table :foreground nil t)) (inner (progn (goto-char beg) (forward-line) (re-search-forward "^[ \t]*|" (line-end-position) t))) (separator (progn (goto-char beg) (re-search-forward "^[ \t]*|-" end 'noerror)))) ;; 横線を引く (goto-char beg) (when separator ;; overlineを引いて高さを縮める (when (numberp org-modern-table-horizontal) (add-face-text-property tbeg tend `(:overline ,color) 'append) (add-face-text-property beg (1+ end) `(:height ,org-modern-table-horizontal) 'append)) ;; 横幅を1文字分確保する(縦線部分以外) (while (re-search-forward "[^|+]+" tend 'noerror) (let ((a (match-beginning 0)) (b (match-end 0))) ;; TODO Text scaling breaks the table formatting since the space is not scaled accordingly (cl-loop for i from a below b do (put-text-property i (1+ i) 'display (if (= 0 (mod i 2)) sp1 sp2)))))) ;; 縦線を引く (goto-char beg) (while (re-search-forward "-+\\(?1:+\\)-\\|\\(?:^\\|[- ]\\)\\(?1:|\\)\\(?:$\\|[- ]\\)" end 'noerror) (let ((a (match-beginning 1)) (b (match-end 1))) (cond ((and org-modern-table-vertical (or (not separator) inner)) (add-text-properties a b `(;; vertical lineにspaceを使うとウィンドウ先頭でline-prefixが効かなくなる。 ;;display (space :width (,org-modern-table-vertical)) display " " face (:inherit org-table :inverse-video t) )) (add-face-text-property a b`(:height 0.1) 'append) ;;0.1の部分は,org-modern-table-verticalとしたいところだけどピクセル数で指定されるので無理。 ) ((and org-modern-table-horizontal separator) (put-text-property a b ;; vertical lineにspaceを使うとウィンドウ先頭でline-prefixが効かなくなる。 ;;'display `(space :width (,org-modern-table-vertical)) 'display " ")) (t (put-text-property a b 'face 'org-hide))))) )))
[…] (2022-08-27追記: org-modernでorg-indentを使っていると表のウィンドウ先頭部分がインデントされない問題は、displayテキストプロパティを” “にしてfaceの:heightを0.1にすることで回避した。org-modern–tableを色々といじると直せる。ちなみにこれとは別の話だが、org-indentを使っていると表の水平線の下に空白が空いてしまう問題は、org-indentが挿入する空白文字列の高さを小さくすることで回避できる。詳しくはorg-modernとorg-indentを併用したときの表の乱れを直すに書いた) […]